shoko:ひと言でいうなら”静謐”なところかな。あとはモノの表し方が独特で、まるで息をしているような、生きているような感じで書かれてて、読んでいると、ふわっと頭の中に姿が浮かんでくるようでした。きっと小川さんの“世界”というのがきっとあるんでしょうね。
はまじ:そんなshokoさんにおすすめしたい、次の小川洋子作品は『琥珀のまたたき』。静謐で閉ざされた世界の物語で、手触りが似てると思うので、ぜひ読んで見て下さい。
とこママ:私は、今回の課題図書の『最果てアーケード』以外は『博士が愛した数式』しか読んだことなくて。当時は人にも勧めたほどなのに、今となっては細かな内容は忘れてしまっていて。いい作品だったなという記憶だけです(笑)。映像化もされたし、大ヒットだから、最初に出会った小川作品という方は多いかもしれませんよね。はまじさんは最初に読んだ小川作品は何ですか?
はまじ:『猫を抱いて象と泳ぐ』かな。たしか『王様のブランチ』で優香さんがおすすめしていて、気になる! と思って手に取りました。
Hiroe:私も同じです! 初めての小川作品は『猫を抱いて象と泳ぐ』です。
はまじ:いいよねえ~。小川さんの作品って“こういうストーリーです”ってうまく言えないけれど、いいんですよね。
ayumin:私が最初に読んだ小川作品は『薬指の標本』だったんですが、摩訶不思議な世界で、もう意味がわからなすぎて。今にして思えば、意味がわかるとかそういうことが重要じゃないってわかるんですけど。次に読んだのが『博士の愛した数式』で、すっと入っていけました。今回の課題図書の『最果てアーケード』は読みやすいほうのなのかなと思いつつも、やっぱりちゃんと小川ワールドがありましたね。視覚的なんだけど、世界観も説明しづらくて……。架空の設定なんだけど、ファンタジー過ぎないというか……。
はまじ:わかる、わかる。以前、小川洋子さんのどうやって小説を書くのかを話されている本を読んだんです。その中に、小説は島と島に橋をかけるようなもので、たとえばだけど、“お水”“フォーク”があったとして、普通に生活している中で、ふと、そのふたつをどうやってつなげるかがふと思い浮かぶんだそうです。ご自身も白黒はっきりわかる本もあるけれど、私はそういうことじゃないことが書きたい、それは読んだ人に委ねたいとも書かれていましたね。
Emi:今ってエンタメのスピードがどんどん上がっているなと思っていて。TiktokやYoutubeで流行っているのも短い動画だし、早送りでドラマを見る人もいると聞きますよね。スマホ開けば、すぐに暇つぶしできる。そんな中、『最果てアーケード』を読んでいる時間は真逆というか。じっくりじっくり、その静謐な世界を楽しむことができて、それはなんというか、私にとってはどこか瞑想体験みたい感じだったんです。じっくり身の回りのことを観察する喜びとか、モノと自分との関係性を見つめるということができる時間というか。すごくいい読書体験でした。
はまじ:確かにそうですね。どの登場人物も、自分だけの世界と現実世界とのバランスの取り方を持っているなと思ったんです。他の人からしたら、意味不明な行動も、本人は価値があるし大事なこと。そうやって、世界とバランスを取っている。きっと自分にもそういうところってあるんだろうなって。
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