1枚1枚手づくり。細やかに“菊”を再現。
江戸時代末期の1849年に金沢で創業した「落雁 諸江屋」の「菊花せんべい」。通年商品ですが、この時季になると百貨店の“諸国銘菓”のコーナーでの取り扱いが始まります。この見事に再現された菊! 華やかで、ちょっとひまわりにも見えてしまうところが大好きなんです。
菊のほか、白味噌入りの「唐松せんべい」や、加賀れんこんを練り込んだ「妙連せんべい」もあり、こちらも素敵(おいしいよりも素敵という言葉が先に出てきてしまうくらい優れたビジュアルなのです! もちろんおいしくもあります)。
小麦粉やうるち米ではなく、もち米から作られているので、最中の皮のようなパリッ!とした軽やかな歯ごたえが特徴。表面は黄色く染めた生姜砂糖が塗られており、さわやかな甘味を楽しめます。
“箱庭の菊”を楽しむ
1803年創業の「京菓子司 亀屋良長」の季節のモチーフを楽しめる「暦」シリーズ。秋はもちろん「菊」(紅葉もあります)。
小箱を開けると中には菊の花の形をした、口どけのよい和三盆糖入りの押物とゆかり(もち米のポンを軸にした金平糖のようなもの)が姿を現します。
先の「落雁 諸江屋」の季節の落雁「時候のわび」シリーズの菊。こちらの商品、まず紙箱の美しさに魅せられてしまいました。幕末から明治にかけて活躍した“反骨の浮世絵師”河鍋暁斎(かわなべきょうさい)の描く艶やかな菊が大好きなのですが、それを思い出してしまいました。そのくらい“惹き”のあるパッケージだったので、売り場でもすごいパワーを放っていました。
中もアバンギャルドにも感じられるピンクの菊と、グリーンの葉の形をした落雁のコントラストが本当に素敵。同じ菊の花のパッケージでうさぎの落雁が入った「名月うさぎ」もあります。
奈良最古の菓子屋が作る、菊のおまんじゅう
1585年創業、400年以上の歴史を持つ奈良県最古の菓子屋「本家菊屋」。屋号にちなんだ菊の形をしたおまんじゅう「菊の寿」も、60年以上の歴史を持つロングセラーのお菓子です。練乳が使われた生地は優しく甘く、白小豆と福白金時豆をブレンドした餡はほくほくとした舌触り。まるでケーキのような和菓子なので、日本茶はもちろん、コーヒーや紅茶、ミルクにもよく合います。
こちらもパッケージが素敵なんです。鹿に鳥、そして花の画は(側面はまた違った画が描かれています)、「正倉院」の宝物がモチーフになっているんですよ。
菊の花びら入りの錦玉羹(きんぎょくかん)
創業1755年「京菓子司 俵屋吉富」。季節によって美しい錦玉羹(※)を出されているのですが、秋は咲き誇る菊と菊の花びらを散らした錦玉羹が登場。昭和レトロを思わせるような色合わせがとても愛らしいんです。
※錦玉羹とは江戸時代からあるお菓子で、水飴と寒天を煮溶かし、型に入れて固めた和菓子。
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