中学受験のメリットとは?


「中学受験は塾に何年も行くし、労力もお金もかかる。それよりも小学生時代は運動したり友達と思い切り遊んだりして、勉強は基礎力養成、高校受験でいいのでは? 頑張る子はどんな環境でも頑張れるよ!」

それが夫の主張でした。うん、おっしゃる通りです。しかも夫はその通りの人生を歩み、高校受験は第一志望に合格、ついでに大学は私と同じです。中受VS高受、検証にはもってこいの夫婦です(涙)。

そして長男はどちらかというと夫に似た性格ですし、おそらく早熟なタイプではありません。もし私が取材でこのケースを見たら、「高校受験のほうがいいかも?」と思うでしょう。

それでも私は、中学受験を決めました。「え? わかってるくせになぜ?」と思われる方もいるでしょう……私にも正直、うまく説明がつきません。

でも、頭に浮かんだのは、自分が受験生だったときに「大人が真剣に自分の背中を押して、挑戦を応援してくれた」という記憶でした。

教育ライター中学受験伴走記①「やってみたら予想斜め上にハードでした...」前知識ばっちりでも過酷な現実に呆然_img0
 

大げさかもしれませんが、親や、親以外の大人が自分を信じて応援してくれるという記憶はその後もずっと「あたたかい記憶」として残っていました。打ち込む習い事や特技がなかった私にとって、たった1年でしたが頑張った経験は貴重でした。

これが、自分が第1志望に受かっていて華々しい成功体験であったら、むしろ子どもに受験させることを警戒したと思います。

でも「私は落っこちて、第3志望に進学したのに心からやってよかったと思うのだから、大丈夫」と考えていました。なーに、落ちても大した話じゃない。頑張った過程に意味があるのだ!

夫には「12歳は思っている以上に大人。本気で頑張る経験はキャパが広がるよ。小さいときにがっちり4科目勉強してると、学習や教養のベースができるし。なんせ6年も同じ学校で仲間と青春時代を過ごせるのは貴重だよ!」と説得を試みました。
 

 


そして正直に言えば、内心では「公立中学に進学して、息子が自動的に文武両道になって、コスパよく望む学校に進めるとは限らないのに、自分がうまくいったからって高校受験一択にするなんて楽観的すぎるのでは!?」と思っていました(夫が読まないといいなあと祈ります)。

勝手に息子の立場になって、反発する気持ちもありました。子どもが親を超えるって無邪気に信じるのは危険じゃないか。高校受験はそりゃ中学受験に比べてお金はかからないかもしれないけれど、そのほうが楽とは全く思えない。野球部フルコミットで学校のテストも頑張り、内申点は満点に近かったという夫はレアキャラ。息子もそうなるとは限らないじゃん! と。

今、冷静に振り返ると、そっくり自分にいってやりたいところです……。「アナタは受験勉強が1年だけだったから負担が少なかったし、たまたま塾の先生に恵まれて、運よく進学先の人間関係が良かっただけ。みんなが満足しているとは限らないよ」と。

そしてもうひとつ、大いなる誤算がありました。