軽い気持ちでやったから、罪が軽くなるわけではない

ネットの誹謗中傷、「軽い気持ち」でも被害者の傷は軽くならない。ドラマ『しょせん他人事ですから』が伝える真理_img0
 

ドラマ中の安田の言葉で、次のようなものがあります。
「軽い気持ちでやったから、罪が軽くなるわけではありません。誹謗中傷したのは悪意じゃなく軽い気持ちだった。そう言われて被害者の傷が軽くなるわけじゃないですから。許される理由にはならないんです。人を傷つけたらその代償を払う。それだけの話です」

優希は、最初は軽い気持ちでちょっとやっただけなのに、おおごとにされて酷い、となぜか被害者のような反応でしたが、実際にあじぇると対峙し、その怒りに触れたことで、自分がしてしまっことの深刻さにようやく気づくのでした。

和徳は、息子が起こした誹謗中傷事件で情報開示請求され、多額の賠償金を支払うことになり、まさに晴天の霹靂でした。誹謗中傷は遠い世界のことと思っていた和徳でしたが、ある日突然「当事者」になってしまいました。小中学生など、早くからネットに触れるようになった今、子どもを持つ親なら、誰にでも起きうる問題です。
 

 


過去が残り続ける“デジタルタトゥー”の恐ろしさ

ネットの誹謗中傷、「軽い気持ち」でも被害者の傷は軽くならない。ドラマ『しょせん他人事ですから』が伝える真理_img1
 

このドラマで扱うのは誹謗中傷だけではありません。第5話「デジタルタトゥー削除編」で取り扱うのは、こちらもまさに現代の問題である“デジタルタトゥー問題”。犯罪やトラブルの現場などの写真を個人が撮影し、ネットにアップし、個人情報が拡散され、情報が消えず、まさにタトゥーのようにネットに残り続ける、という問題が起きるようになりました。

10年前、大手企業に勤めていた黒川大樹(浅利陽介)は、同僚の鏑木香織(入山法子)らとの飲みの席で、鏑木が酔った勢いで喧嘩をしかけてきたため、応戦したところ、誤って鏑木を転倒させ、怪我を負わせてしまいます。結果的に黒川は傷害の容疑で逮捕されてしまい、“大手企業に勤めるエリート”が起こした傷害事件として、インターネット民の格好のネタとなって、尾ひれがついて情報が拡散されてしまったのでした。

黒川は罪を償い、現在は転職し真面目に働いていますが、いまだに本名や当時の情報がネット上に残っており、子どもが大きくなってその情報を知ったらショックを受けるのではないかと心配し、削除の依頼のため安田の元を訪れたのでした。