でも、海外と日本を繋ぐ架け橋的な仕事、という意味では共感もした。「私も80年代前半に、父の転勤で家族でアメリカに住んでいたんです」と言うと、あら、あの時期に同じアメリカにいたのね、嬉しいわ、と感激してくれた。
最近のMさんは、ご縁のあった会社の顧問をしたり、スタートアップ企業の若い人たちのお世話をしたりしているが、仕事のペースは随分と落としたと言う。
「母が、今の私より若い時に亡くなったのね。母は自分の時間を楽しむ間もなく亡くなったから、その年齢を超えたら、楽しむことを優先して生きようと決めたの。母の分まで。お金も大事だけど、あればいいってもんじゃない。健康で、時間を自分のために楽しく使えるって、人生にとって大切なことよね」
なんだかジーンとした。
それからMさんとは、社会的な話題から暮らしのモヤモヤまで、いろいろな話をするようになった。湯船だから長話はしないが、それがまたかえって良い。
この夏、私は愛猫を看取った直後から急に、更年期障害の酷めのホットフラッシュが始まった。気持ちが悪くなるくらい熱い波が押し寄せ、時折すべて嫌になってしまうほど体がしんどい。それを漏らすと、
「大丈夫、大丈夫。アメリカで最先端の研究をしている教授が『
フルネームも知らない、裸でしか会わない。でも、こんな素敵な人生の先輩が近所に暮らしているって思うと、それだけでなんだか、めっぽう心強いのである。
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