個人的に、若者の間で流行っている“ギャルマインド”が響くのって、さまざまな悲しみを経験した上のポジティブだからだと思うんですよね。

令和の学生たちは、コロナ禍によりさまざまな行事が軒並み中止になったりと、思うような青春が送れなかった世代でもあります。「嫌なことは寝たら忘れます〜!」とか言っている人を見ると、「寝たら忘れられるくらいの嫌なことしか経験したことないんだな。いいな」と思ってしまうけれど、いろいろな苦しみを経験した人が言うポジティブはちがう。心にグッとくるんです。

結も、阪神・淡路大震災をきっかけに神戸から福岡・糸島に移住したということは、かなりの被害を受けてしんどい思いをしてきたはず。進学のためとはいえ、トラウマがよみがえってしまうかもしれない場所に戻るのも、覚悟が必要だったと思います。結のポジティブも、一度どん底まで落ちた人のポジティブだからこそ、スーッと溶け込んできそうです。

また、“不屈のギャルマインド”を宿した結の家族も、個性派ぞろい! 心配性な父・聖人(北村有起哉)に、元ヤンの母・愛子(麻生久美子)、伝説のギャルとして知られる歩(仲里依紗)に、超ポジティブな祖母・佳代(宮崎美子)、大ホラ吹きな祖父・永吉(松平健)と、紹介文を読んだだけで「この6人の会話劇、絶対に面白いやん……!」とワクワクします。

【朝ドラ『おむすび』】ヒロイン・結(橋本環奈)の“ギャルマインド”が令和に求められるワケ。ポジティブな言葉は悲しみを経験したからこそ響く_img0
連続テレビ小説『おむすび』公式サイトより。9月30日(月)放送開始。

そして、タイトルにもあるように、本作は“食”に重きを置いている作品でもあります。脚本の根本ノンジさんが「いろんな人たちが観て、ご飯が食べたくなるドラマにしたい」とおっしゃっていましたが、「朝から食欲出ないよ〜」って人も、モリモリとエネルギーチャージをしたくなるような朝ドラになったらいいなと思います。バラエティ番組などで見る橋本環奈さんの食べっぷり、スカッとしますもんね! あれが、毎朝見られるなんて! 

予告で「美味しいもの食べたら、悲しいこと忘れられるけん」と言っている結の姿を見たとき、このドラマはいろいろな意味で人を勇気づけてくれる作品になりそうだなと思いました。平成元年生まれのヒロインが、栄養士として人の心と未来を結んでいく平成青春グラフィティ『おむすび』。スタートが楽しみです!
 

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