日頃から「シャツ」を愛するエディター昼田祥子さんによるファッション特集を全6回(予定)にわたってご紹介します。苦手だったシャツが似合うと思えるようになったという昼田さん、その理由とは?
こんにちは、エディターの昼田祥子です。
私はファッション業界にいながらもひょんなことがきっかけで1000枚もの服を捨て、今手元にあるのは約20枚。ストレスも我慢もない、最高に心地よいクローゼットで毎日を過ごせています。
かつての私は毎シーズン新しい服を買っては「足していくこと」に夢中でした。シンプルな服であれば、スカーフやアクセサリー……いかに盛るかを考えていました。
「自分らしいおしゃれがしたい」
「似合うおしゃれがしたい」
「素敵な洋服でそれなりに見せたい」
そう思って買っているのにいつまでたっても、どんなに服を着ても、私が抱えていた悩みは何一つ解決することはありませんでした。
それが「服捨て」をしながら、服に紐づいている「こうあるべき」「こうでなければ」という自分が勝手に作りだした「思い込み」や「概念」を手放していったら、欲しかったものがするりと手に入ったのです。
いや、もうこれにはびっくりしました。
足しちゃダメだった!
アプローチが間違っていたのです。
つまりですね、私の提案は「足す」より「まずは手放す」。あえて引いてみて欲しいのです。具体的に申し上げると買い足すこと、盛る(着飾る)ことを意識的にストップして、自分がどんなマインドを持っているかを見つめていただきたいのです。そして自分を苦しめているものを手放す。
季節が秋へと変わろうとする今、ショップには新鮮なアイテムばかりが並びます。買え、買え、買え! SNSに焦らされて「何か買いたい」「買って私も素敵になりたい」という思考が無意識に湧いてくるでしょう。そんなときに買わないなんて! 足さないなんて! と思うかもしれませんが、ポイントは「一時的に」買うことや足すことを手放すだけ。「永遠の放棄」ではありません。
足すことをやめたら、大きな気づきを得られると思います。
ということで、この企画では新しい服を一枚もご紹介しませんし、着こなしをたくさんお見せすることもしません(笑)。私が「引くおしゃれ」を実践してわかったこと。いい意味でみなさんが持っている「おしゃれの概念」を揺さぶることになるかもしれません。
なんだ、おしゃれってそうでなくてもいいんだ!
そんなふうに、心がちょっと軽くなれますように。読みながらおしゃれのデトックス。それでは「手放すおしゃれ」の本題に入っていきましょう。
01.「似合う」を手放す
「似合うシャツ」にこだわらなくてもいい
今でこそ私はシャツのイメージがあるかもしれませんが、20代半ばまでは着ることがほとんどありませんでした。当時携わっていたコンサバ誌の影響で、読者にシャツを提案しておいて自分が着ないのもな……と思って着始めたのが最初。トライしてみたら私の場合は華奢な上半身が強調され、うまく着こなせないわけです。カーディガンを羽織ったり、ストールをプラスして誤魔化していましたが(笑)、シャツ一枚で出かけるなんて絶対にありえないことでした。自分でも自覚するほど似合わないから、似合うようになりたい、どうやったら攻略できるのかとしつこく着ていたら、結果、似合うと言われるようになったんですよ(笑)。
ですから、「似合う=自分が着慣れた、他人からしたら見慣れた」だけなのではないかと思うようになりました。
先日、はじめておろしたシャツが、今までにないシルエットだったので終始落ち着かない1日を過ごしました(笑)。彼氏との初めてのデートは楽しいけれどギクシャクした、みたいな感じでしょうか。鏡を見て、我ながら似合ってないなと何度も思いました(笑)。こんなものなんじゃないでしょうか。ただ新しいシャツに体が慣れていないだけ。服と体の呼吸が揃っていないような感じも、回を重ねれば慣れてきて安心感が生まれてきます。そんな状態になったら私は「これ似合ってる! 」と勝手に思うようにしています。
別の視点でお話しすると、本にも書きましたが「似合う」は、どこまでも他人の意見でしかありません。どんな着こなしにも「似合う」も「似合わない」もどちらの意見も存在しています。満場一致はないのだから、もう自分で決めつけたらいいんです。
私はこの服がとっても似合っている、と。
(次回に続きます)
<新刊紹介>
『1000枚の服を捨てたら、人生がすごい勢いで動き出した話』
著・昼田祥子
¥1540(税込)
講談社
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「朝日新聞」「CLASSY.」「リンネル」「日経WOMAN」など、各メディアで話題! たちまち7刷の話題作。
クローゼットに収納術はいりません。
「クローゼット=本当の自分」にできれば、勝手に整うものだから。
ただ、自分の心地よさに従うこと。
本来の自分を生きるという覚悟を決めること。
捨てられずに人生を詰まらせているものに向き合い、手放していけたとき、人生はすごい速さで自分でも思いがけない方向に進んでいきます。
1000枚の服を溜め込んだファッション雑誌編集者の人生を変えた「服捨て」体験と、誰でもできるその方法を伝えます。
撮影(人物)/岡部太郎(SIGNO)
着用、スタイリング/昼田祥子
ヘアメイク/加藤志穂(PEACE MONKEY)
編集/出原杏子
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