ピンチのとき現れるヒーローを妄想

道端に恋落ちてる系以外にも、妄想することがあります。それが、ピンチのときに助けてくれるヒーロー。

レストランでご飯を食べていたら、刃物を持った強盗が押し入って、その場には50人くらいいたのに、私は運悪く人質にされてしまい、包丁を突き付けられて頬にめり込んでいる! 絶体絶命のピンチ。そんなとき、なぜか素手で犯人を殴打し包丁をうまいことはたき落として奪い取り、助けてくれるヒーローが現れた! 的なことを日々妄想するわけです。

例えば、ドラマ化もされて大ヒットした『花より男子』(原作、神尾葉子)に登場する花沢類は、牧野つくしがピンチのとき、颯爽と現れて軽やかに救い出します。

私的NO.1ヒーローは国民的純愛ドラマ『Nのために』(TBS系)の窪田正孝演じる成瀬くん。ヒロインの希美(榮倉奈々)と成瀬くんは瀬戸内海に浮かぶ島に住む同級生で、恋人とも、友達とも違う関係性。希美は父が急に愛人を連れ込んだことで家を追い出され、父に捨てられた母が毒親に変貌。過酷な生活を強いられるのです。成瀬くんも、実家の料亭の経営が上手くいっておらず、両親のいさかいが絶えません。ふたりは生き地獄のような毎日を共に生き抜く同志であり、戦友のような関係なのです。

 

好きな人に手を出さない=純愛


成瀬くんの何がいいって、希美に手を出さないんですよ。キスもしなけりゃハグもしない。でも、希美が父親と愛人が住む家に火を付けようとしたときには身をていして引き留め、「苦しいなら、助けるけん。どうしてほしい。おれに何ができる」と訴える。泣き崩れる希美に触れようとするけど、やっぱりそこは触れません。これがじれきゅんってやつですね。

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大人になってふたりが再会したときには、希美は胃がんを患っており、かなり状態がよくないのですが、そんな希美を前に、成瀬くんが言うのは「結婚しよう」とか「好きだ」とかじゃなくて、「ただ、一緒におらん?」なんですよ、きゃあああああああ。しかも、希美にマフラーを巻いてあげるんです(触れないのがいい)。

連続テレビ小説『虎に翼』では、優三さん(仲野太賀)が寅子(伊藤沙莉)と結婚してもなお、指一本触れない宣言をしますが、“好きな人に手を出さない系男子”って、「究極の純愛」って感じがしてキュンキュンしちゃいますよね……。

話が逸れましたが、目をそむけたくなるような現実でも、一番苦しいときに、救いだしてくれる、いや、その現実を一緒に引き受けてくれるような人がいたら。そんな妄想をしてしまう理由は、私の幼少期にありました。