「諦める」ことが実は大事

毎日2回、鏡で全裸を確認──50代を迎えた大草直子さんが実践している、おしゃれや人生を楽しむコツとは?_img0
 

10枚服があったら、「特別に」似合うのは、たったの2枚。

これまで多くのモデルたちを見たり、自分で服を着たりして、気づいたことです。それは、どんな体型の人にも言えることで、10枚のうち、5枚くらいの「似合うかもしれない」服に自分を無理やり合わせることを、多くの人がしているように感じます。服は、勝負すべき相手ではなく、自分を魅力的に見せてくれるもの。何でも似合わないとおしゃれにはなれない、と服を組み伏せなくて良いのです。

そう、とびきり似合う2枚の服の「奥行きをつけていけば」、着こなしは安定し、とてもおしゃれな人になれるのだから、それ以外を簡単に諦めることができたら楽。

特に、40代になって、肉質がドラスティックに変わり、肌や髪の質感が過去とは違うものになったとき、その「残す」「捨てる」の基準はシビアになります。

「あれ、昨日の自分と何かが違う」という日が続いたら、このジャッジをしたほうが良い。
 

 


私は、30代に入ったときに、膝を出すボトムス、スキニーなデニム、パステルカラーのトップス、ウールのリブタートルニットは捨てました。それ以降、クローゼットに復活することはなく、さらに少しずつ、ほかにも諦めるものが増えています。

その精査は、次のような自問からスタートします。

鎖骨を出す? ウエストのライン、ヒップの存在は隠す? 二の腕の後ろを隠せばバランス良い? 膝を見せる?

体型だけでなく、素材、色についてもやらなくてはならないので、少し面倒くさいです。ただし、やっておくと、その後の人生が楽。

自分で判断できなかったら、ふいに撮ってもらった写真で確認してみて。

「このスカート、ハイヒールを履けば着こなせる」「少しきついけれど、短時間なら着ていられる」など、エクスキューズがつく1枚は、結局「珠玉の2枚」には入らない、と覚えておくと良いでしょう。

これを基準に、手持ちの服や小物と向き合うのも、時には必要。かくいう私も、仕事柄、新しい分野に挑戦しないわけにもいかず、10年前に比べて、劇的に服が増えました。そうだ、言い訳をせずに、その作業、今日からやろう。