1位『モンスター』

常識にとらわれず、感情を排除して相手と向き合う得体の知れないモンスター弁護士・神波亮子(趣里)が、令和ならではのさまざまな問題と向き合い、まるでゲームのように法廷闘争に立ち向かう異色のリーガル・エンターテインメント。このドラマ、最初はよくあるリーガルものだなぁと思っていたんです。ほら、型破りな弁護士が、無罪を勝ち取るためにあの手この手で奮闘していく話って、よくあるし。でも、初回を観たときに「これは、何かが違うぞ!」と衝撃を受けました(以下、『モンスター』第1話のネタバレを含みます)。
 

 


第1話で描かれたのは、“自殺教唆”。亮子に弁護を依頼してきた塩屋(萩原利久)は、交際相手の紗江(藤吉夏鈴)に自殺未遂の過去があると知りながら、「死ね」というメッセージを連投してしまいました。その結果、紗江は自殺。どこからどう見ても、塩屋のせいなのですが、紗江は前から社内でパワハラやセクハラを受けていたんですよね。もちろん、塩屋が言ってしまった事実は変わらないけれど、ほかにも引き金があったことで、罪は軽くなった。つまり、亮子にとってはゲームに勝ったということ。

なるほど、事件の裏をかいていく物語なんだな……と思っていたら、ラストシーンであまりの衝撃が。なんと、最後の引き金を引いていたのは、紗江のカウンセラー・ますみ(美波)だったんです。彼女は、自分も精神を病んだ経験があるため、そういうときに「まだ頑張れる。頑張ってよ」と言われたら“やばい”ということを分かっていた。それなのに、紗江に同じ言葉をかけて、ニヤリと微笑んだのです。怖い、怖すぎる。ただ、この問題って、“分かっていた”か、“分かっていなかったか”で、大きな違いがあると思っていて。

たとえば、「頑張って」という言葉は、「死ね」と言うよりも、明らかに悪くないですよね。むしろ、優しい言葉だと思います。でも、ますみのように、その言葉が持つ意味を知っていて言うならば、また意味が変わってくる。でも、「死ね」と言ったことは罪にできるけど、「頑張って」と言ったますみは罪にはできないんです。だって、言ったらダメな言葉ではないから。

このますみの言動について、友人と1時間くらい語り合ってしまいました。罪には問われないかもしれないけれど、自分がかけた言葉で、他人が自殺をしてしまったら、すごくしんどくないか……? そもそも、どうしてますみはそんな言葉をかけてしまったのか? などなど。おそらく、『モンスター』は語りたくなるドラマになっていくはず。1話完結なので、まだ間に合います! ぜひチェックを!


そのほかにも、『マイダイアリー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)や『若草物語 -恋する姉妹と恋せぬ私-』(日本テレビ系)など、絶対にみてほしい“推し作品”が盛りだくさんの秋クール。秋の夜長は、温かいドリンクを飲みながら、ドラマに癒やされませんか?
 

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