内閉鎖筋のこりを予防する生活習慣とセルフケア


肩こりや腰痛と同じように、予防するには内閉鎖筋を意識して動かすことが大切です。ただし、自分で内閉鎖筋を内側から触ってほぐすのは難しいので、生活習慣の改善と外側からのアプローチをしていきましょう。
 


■日常生活で気をつけること・歪んだ姿勢で長時間座らない
・長時間のデスクワークでは小まめに休憩を入れ、膝の開閉運動をする
・下腹部を締め付ける衣服(きついガードルなど)は避ける
・足を組まない
・湯船に浸かるようにする
 


「ガードルやウエストまわりを締め付ける洋服がよくない理由としては、腹圧を下にかけて骨盤底筋に負担をかけてしまうためです。同じ理由から、残尿感があって尿を出し切ろうと力むのもよくありません。

内閉鎖筋も筋肉なので、動かしたり、温めることを意識しましょう。それだけで軽いこりは改善されます。

動かさないと筋肉が固まって線維化し、まるで劣化したゴムのようになってしまいます。筋肉が収縮しないことは、ほかの内臓器官の機能にまで影響を及ぼしますので、今から意識して動かしましょう」

最後に、今日からはじめたいセルフケアについても伺いました。
 

 

■腟こり予防セルフケア・足パカ運動 
脚を股関節から閉じて開くのを繰りかえす。座っていても仰向けで寝転んで行ってもOK。

・お尻まわりをほぐす
拳またはテニスボールなどでお尻をぐりぐり押す。筋肉を動かし血流をよくする効果がある。長く座って仕事する人やドライバーはこまめにマッサージしましょう

・腹式呼吸
横隔膜と骨盤底筋が連動しているので、筋肉を動かす効果がある

・骨盤底筋トレーニング
①楽な姿勢(あお向けでも座ってもOK)で、ゆっくり息を吐きながら、肛門(または腟)を軽く5秒間程度、引き上げる(力を入れすぎると逆効果)。
②尿道・肛門(腟)をきゅっと締めたり緩めたり、2~3回繰り返す
③リラックスする
①〜③をワンセットで10回程度行う
 


「骨盤底のあらゆる悩みに有効なのは『骨盤底筋体操』です。骨盤底の血流をよくすることは内閉鎖筋のこりの改善につながります。通勤時にバスや電車での“ながら体操”もオススメ。1日5~10回程度、小分けにすることが大切で、最低3ヵ月は継続していただくと効果が実感できると思います」


ミドルエイジ世代は管理業務が増え、オフィスでのデスクワークが多くなっていくのも内閉鎖筋のこりのリスクを高めていると安倍先生はいいます。
どんな筋肉も適度に動かさないと、伸び縮みしなくなる。それがトリガーとなり全身のいろいろな痛みやトラブルにつながっていくのです。

この負の連鎖を食い止めたい! 日常生活では動かしていない筋肉を、意識してストレッチやマッサージで伸ばして縮めてほぐす。温めて血流をよくする。長寿社会を生き抜くために、心も体も筋肉も動かしていきましょう♪

長時間のデスクワークで下腹部の不快感を抱く女性が増加中。それは”内閉鎖筋”のこりが原因かも_img0
 

安倍弘和先生
日本橋骨盤底診療所(東京都中央区)所長。大阪医科大学卒業後、大学病院で3年間、大阪府済生会中津病院で2年間勤務、静岡済生会病院で11年間勤務。2014年、亀田総合病院泌尿器科部長。2023年から現職。


取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
 

長時間のデスクワークで下腹部の不快感を抱く女性が増加中。それは”内閉鎖筋”のこりが原因かも_img1
 
長時間のデスクワークで下腹部の不快感を抱く女性が増加中。それは”内閉鎖筋”のこりが原因かも_img2
 
長時間のデスクワークで下腹部の不快感を抱く女性が増加中。それは”内閉鎖筋”のこりが原因かも_img3