このドラマ、鷹野以外にもたくさん“濃い”キャラクターたちが登場します。たとえば、鷹野と同期入社の鶸田は、鷹野とは逆で本当は仕事ができるのに、見るからに無能だからこそ、取引先を説得することができない。ただ、有能に見える女・鷹野と、無能に見える男・鶸田タッグを組むと、とんでもない奇跡が巻き起こったりするんですよね。本当に、人って見た目に左右されるんだなぁとちょっぴり悔しさを感じながらも、それなら鷹野のように“できる女”の振る舞いをしてみたらいいのかもなんて考えさせられました。
 

 


そのほかにも、恐ろしく要領がよく、危機管理能力が高い“根回しの鬼”こと雉谷(工藤阿須加)や、社内のありとあらゆる情報を収集するのが趣味となっている鵜飼(さとうほなみ)、老害に成り果ててしまったのに、自分が老害であることを認めたくない部長・朱雀(高橋克実)などなど。みんな、鳥の名前が入っています。

個人的にいちばん好きなキャラは、井浦新さんが演じる鷹野の教育係・鳩山。鳩山って心優しくて真面目で面倒見がいいんですけど、どことなく損しがちなんですよね。社内でも貧乏くじを引きがちというか。鷹野の教育係だって、誰もが拒否したのに、立候補(?)してしまったり。「優しい人が、損をする。それが会社だ」とわかっていながらも、優しく生きている鳩山が好きです。

正直、鷹野の教育係なんてめちゃくちゃストレスが溜まると思うんですよ。だって、パソコンの開き方も分からないんですもん。普通なら、「もう、いい加減にしてよ!」と小言も言いたくなるだろうけど、鳩山は常にテンションが変わらない。何があっても、優しく指導をしてあげるんです。そして、ちょっとでもできることがあったら、めちゃくちゃ褒めてあげる。そのせいで、「優しくするだけじゃ、人は育たない」って言われちゃったりするんですけどね。鳩山みたいに、他人に対して優しさを与えられる人になりたいなと思わされます。

ちなみに、『無能の鷹』が放送されているのは、金曜日の23:15〜。放送時間も、ピッタリなんですよね。“毎日頑張るのが嫌になっちゃったすべての人に贈る 鼻で笑える超・脱力系お仕事コメディ”というだけあって、肩の力を抜く……どころか、カックンとしちゃう。ついつい頑張ってしまいがちな人は、鷹野を見て「ちょっとくらい肩の力を抜いてもいいのかも」と思えるはずです。外車のことを「外出用の車ですよね」と言ったり、「燃費」のことを「もえぴ」と読んだり……意味不明な“鷹野語録”にも、ぜひ注目してもらいたいです!

秋ドラ深夜枠は『無能の鷹』が面白い!仕事で疲れ果てた金曜の夜に、力の抜けた笑いが最高すぎる_img0
 

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