大嫌いな家しごとが「るん♪」に変わった瞬間
実は「家しごと(=家事)」って大嫌いでした。そんな私が、暮らしの本を書かせていただくなんて! 昔の私を知る人たちは、きっと、驚いて腰を抜かすことでしょう。
だって、家のことって面倒くさいじゃないですか。
まいにちのご飯作り、掃除、洗濯。言葉にしてしまえばこんなものなのですが、家事は名前のつかないものもあります。例えば、洗剤の詰め替えとか、掃除のなかにひとくくりにされがちだけれど、使った道具をしまうとか、雑巾を干すとか……。食事作りだって、献立を考え、栄養面を考え、予算を考え、買いものに行く。後片づけをし、洗った器を定位置におさめ、また翌日は同じことの繰り返し。こんな重労働を、家族の中で誰かが担わなければいけないのです。正直に言います。私にとっては会社勤めのほうがラクでした。会社の仕事には終わりがあって、誰かが認めてくれて、感謝もされてお給料までいただけるのに、家事はやって当然。
こんな大変なこと、誰がやるのよ? とずーっとずーっと思っていました。エシカルな暮らしに出会うまでは。食べものを変え、掃除の仕方を変え、ゴミが出ない工夫をし、暮らしの中を循環させることを意識して過ごすうちに、いつの間にか家しごとに「るん♪」と向き合えるように。それはきっと「家しごと」が義務じゃなくなった瞬間だったのだと思います。それまで私は「家しごとのその先」を考えたことがありませんでした。
口にする食べものは、どんなふうに作られたものだろう? 排水溝に流れる洗剤は、どんな影響があるのだろう? ゴミ収集車の先なんて考えたこともなく、プラスチックが100年も地球に残るなんて考えたこともありませんでした。
それらの実態を知ったとき「あ、こりゃ、いかん」と、進む方向をスイッチし、人生の羅針盤をエシカル方向に定めた時、人生がカチリと音を立てて変化しはじめるのを感じました。私にとっての「家しごと」が義務から使命に変わったのです。
1つ1つのモノやコトと向き合い、納得の行くものだけ買う。というスタイルにしてから、嬉しい変化もおきました。天然素材で暮らしを整えると、家の景色が変わります。その佇まいは美しく、なんと言っても目が喜ぶのです。ぎゅっと絞ったへちまスポンジに、今日もよろしく! と伝え、野菜を載せたざるには今日もありがとう! と伝え、皮や種まで役に立ってくれた野菜や果物には手を合わせるような気持ちになります。そんな我が家をちょっと覗いてみてください。
食品の見える化でフードロスを削減
保存した食品はみそや梅干しなどの保存食を除き、すべて2日で消費するのがルール。ガラスの保存容器を使うことで、食品たちを見える化したら、無理せずクリアできるようになりました。
一目でわかるゴミステーション
暮らしの中で出しているゴミの量を把握するために、ゴミも見える化しています。ネットショップの利用を最小限にしたくて、段ボールも見える化。
『今すぐマネできる エシカルライフ118のアイデア図鑑』
著者:梨田莉利子 日東書院本社 1540円(税込)
フォロワー約15万人の人気インスタグラム「エシカルなまいにち」でエシカルな暮らしを発信している著者が、だれでも取り入れやすい118のアイデアを写真と共に紹介します。身の回りにあるものや簡単に手に入るものを使う、疲れたら休んでもOKなど、力みすぎない内容が魅力で、エシカルライフに挑戦したいけどできなかった人の背中を押してくれるでしょう。
撮影/石川奈都子
構成/さくま健太
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