あいくまさんからの質問
Q.
夫がモラルハラスメントの場合の、離婚知識を授けていただきたいのです。

初めまして。これからの自分を切り開くためにもご教授頂きたく思います。結婚は2度目で、1歳の子供がいます。が、主人のことが大嫌いで仕方ないのです。とはいえ子供は1歳。子供のために修正することはできないのか、自分の我を通していいものか悩んでいます。付き合っていた頃の夫は、手作りプレゼントをくれたりと愛情いっぱいで、付き合い始めから両親に挨拶もするなど今どき珍しいしっかりした人でした。が、結婚してみると、些細な喧嘩でも高圧的な態度で無視する人で、話し合いをすることが不可能です。フルタイムの共働きでしたが家事はやってくれず、「収入も全然違うんだから家事も全て半分だ」と言われました。自分なりに調べたら、モラルハラスメントとやらではないかと思います。子供の面倒も気が向いたときだけで、入浴中も呼び出されるなどストレスが半端ないです。最近は子供に対しては少し変わってはきましたが、私は今まで取られた態度が根底にあり、大嫌いなままです。自分の我を通していいのならば、まずは働き自分でも稼ぐことが先決でしょうか? それとも別居が先でしょうか? また別居中の貯金はどうしたらいいのか、子供の貯金は私が管理してもいいのかもお答え頂ければと幸いです。

特別ゲスト 原口未緒先生の回答
A.
モラハラで離婚は認められにくいのが現状。 別居をされて、その期間で認めてもらうほうが早いでしょう。

モラハラを働く男性というのは、奥さんが下手に出ると図に乗る傾向がありますからね。「コイツは言いくるめられる」と思い、実際に一回言いくるめることができてしまうと、ずっとその態度が続くようになる。奥さんはそれが怖くて意見を言えなくなり、別れるしかなくなるのです。実は私も2度目の結婚のとき、同じような状態に陥ったのです。2度目だからもう離婚したくないという思いもあって、言いたいことも我慢してしまったんですよね……。あいくまさんも2度目の結婚で、しかもお子さんが1歳。我慢してしまったお気持ちはお察しします。

ただモラハラというのは、されたほうの受け取り方次第な部分もあるもの。極端に言うと昔ながらの亭主関白もすべて、人によってはモラハラと受け取られてしまう可能性があるくらいです。だからあいくまさんが嫌だなあ、やめてほしいなあと思えばそれはモラハラ。ですが裁判事例となると、離婚理由としはまだ全面的に認められていないのが実情なのです。モラハラが注目され始めたのが最近なので、まだ裁判事例の蓄積がないだけだと思うのですが、モラハラではなく「婚姻生活が続行不可能」とみなされているよう。しかもモラハラを受けている女性の場合、大抵は別居していてその期間が長くなっていますから、前例のないモラハラ理由より別居という理由のほうで離婚が認められることがほとんどなのですよ。なのであいくまさんも、離婚をしたいならまずは別居をされるのが先かと思います。

気になるのは、お悩みの中に“我を通して”という言葉が2回出てきていることです。本当は、結婚生活を続けられるものなら続けたい、という思いがあるのではないでしょうか? そこで離婚をするにしてもしないにしても、あいくまさんが自分の人生をどうプランニングしたいと思っているのか考えていただきたいと思います。今の夫と子供と3人できちんとやっていきたいのか、離婚して1人で子育てと仕事を頑張っていきたいのか、あるいは再婚してもまた家庭を持ちたいのか……。

夫とやっていきたいのなら、一度、離婚を考えている旨を伝えて話し合うことが必要だと思います。モラハラを働く夫って、自分ではそういう意識がまったくないことが多いのですよ。むしろ真面目で理詰めな性格の人が多く、社会ではけっこう信用を得ていたりする。そんな自分がまさか……と思っているのですね。だから夫が冷静なときに、「こう思っていた」「こうしてほしい」とちゃんと伝えてみてください。それでも無視されるようでしたら、決心も固まるというものですよね。

もし夫でなくとも、やはり家庭を持ちたいと考えているのでしたら、「家庭は経営だ」という考えを持たれることをオススメします。昨年大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』でも話題になりましたが、家庭は会社だと思うのです。自分が社長だと思って、夫という新入社員を根気強く一から教育し、頻繁に経営会議を開いて話し合いをおこなえば、きっと上手くいくと思うのですよ。

私は離婚相談を受けるにあたって心理学やコーチングについて学んだのですが、その結果、自分のこれまで3回の結婚は経営理念がなかったな、と反省したものです。新入社員が期待をかけられると成長するように、夫にも何かをやってくれたときは「すごいね!」「助かる」などと言葉をかけ続けていたら、変わってくるものです。今の夫は子供ができるまでは自分の部屋の片付けすらできない人だったのが、いつのまにか掃除や洗い物をしてくれるようになり、今では率先して食事も作ってくれるようになりました。すごいですよね!?

かのマザー・テレサの言葉に「愛の反対は無関心」というものがありましたが、もしかしたらあいくまさんの「夫のことをじゃ大嫌い」という言葉も、関心の表れではないでしょうか? ならば今一度頑張って、話し合いをされてみませんか? もしかしたら夫が無視するというのは、何かを話そうと考えているだけかもしれません。男女の脳の構造の違いから、女性はケンカしながらも話ができるけれど、男性は同時進行が苦手、と習ったことがあります。「考えている間は話が止まるから待ってあげて」と。

たしかに別れてしまうほうがラクだとは思います。でも結婚生活を続けることでしか学べないこともありますから、もう一度だけ頑張ってみる価値はあるんじゃないかと思うのです。

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PROFILE
  • 原口未緒(はらぐちみお)1975年生まれ。弁護士。学習院大学法学部卒業。2004年に弁護士登録。民事、商事、家事、刑事、倒産処理、債務整理など様々な案件を担当した後、2010年に「未緒法律事務所」を開所。夫婦、離婚案件を主に扱っている。法的な解決策を提案するだけでなく、コーチング、カウンセリング、セラピー手法を取り入れ、「心のケアもする弁護士」として人気がある。著書に『「この結婚もうムリ」と思ったら読む本 こじらせない離婚』(ダイヤモンド社)がある。自身は3度の離婚を経て、現在4度目の結婚をし、第一子をもうける。 この人の回答一覧を見る
  • 山本 奈緒子1972年生まれ。6年間の会社員生活を経て、フリーライターに。『with』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。 この人の回答一覧を見る