女性誌の美容担当をしていた数年前(あれ、もう十数年前なのかな笑?)、“すっぴんメイク”という言葉が大流行しました。正確に表現するなら“まるですっぴんであるかのように錯覚させるナチュラルメイク”のことです。そのビッグトレンドだったメイク提案は(多少の表現のマイナーチェンジはあるものの)、今はメイクの定番へと変わりました。「すっぴんをいかにキレイだと思わせられるか」――そんな高度で狡猾と思える欲望は、女性がずっと潜在的にもっていた欲望だったのだな〜、と今でも雑誌をの美容ページをめくる度、ベースメイクの新製品が出る度に思います。
多分に漏れず私もその一人で、「メイクがキレイな人」ではなく、「素肌がキレイな人」という印象を与えるメイクが好き。40代を超えたあたりから、(チークを含めた)ベースメイクで表現すべきは、立体感(小顔効果)やトレンド感の誇示ではなく、血色、透明感、うるおい感……すなわち「ヘルシーさ」「フレッシュさ」、言い換えるなら「私は、今、疲れておりません!」の演出。これに尽きるのではないか、と考えています。
さて、前置きが長くなりました。そんなことを考えるキッカケを与えてくれたのは2002年に誕生したポール & ジョーのプライマー(下地)。使い始めていくうちに、後に使うファンデーションの量がどんどん減り、ついにはこちらと少しのお粉だけで仕上げる(つまりファンデーションを使わない)ベースメイクが当時の定番に。どんどんベースメイクが薄くなっていくことで得られる「肌が呼吸できているような解放感」が本当に心地良かった! 塗っているのかどうか自分でも分からなくなるほどの自然な仕上がりなのに、確実に肌をイキイキと見せてくれる。粗(アラ)を緻密に隠すベースメイクではなく、たとえシミやシワが透けてしまっても、顔全体を引いてみてフレッシュな印象に見えればそれでいいやと潔く思わせてくれる、言わばメンター的アイテムなのであります。
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