今も私が愛読する作家、ロザムンド・ピルチャーの作品に「マリーゴールドの花束」という短編があります。「ヴァンテーヌ」という女性誌にピルチャーさんの掲載をしていたとき、とても心に残った作品です。日々の暮らしの中、妻の存在の重さに気づいた夫が、帰宅途中、車を止めて妻のために買うのが、マリーゴールドの花束。バラでも、ユリでもなく、マリーゴールド、というところが、さりげなくて印象的でした。札幌に帰省すると、まだマリーゴールドが花盛り。以前、父に「この花、なんという名前?」と聞かれ、教えてあげたことがあります。先日、一緒に散歩していると、道端の花を見て「マリーゴールドだね」と父。花の名前は、ひとり暮らしの父を少し明るくしてくれた気がします。
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発行人・下田結花のブログ
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