友情のメンテナンス方法は?

 

では、具体的に何をしたらいいのか。よりよい友人関係を育む、あるいは維持するための「友情のメンテナンス」には、以下のようなことを実践してみるといいそうです。

●友人の言葉に耳を傾ける態度を身につけること
これは話を聴く側と聴いてもらう側、両方に同等のメリットがあるのだそう。注意を払いたいのは、お互いのバランス。「友人関係においては、話し手と聞き手の役割が固定化してしまうことがある。自分がどちらになりがちかを見極めて、バランスをとろう。双方向の関係が、いちばん強い友情になる」というアドバイスも参考にしたいところです。

●仲違いした友人との関係について考えてみること
仲違いした友人がいるなら、いつまでも引きずらず、わだかまりを解消できるよう行動することが大切、と本書。素直に謝る、丁寧なメールを送る、昼食をごちそうすると提案する、そうしたアクションを起こすだけで、過去の傷を修復できることも。「人は友情よりも傷ついた自分の心を守ろうとすることがある」の一言を覚えておくと、友情にヒビが入りそうになったとき、客観的な視点で自分を見つめられそうです。

●友人付き合いのルーティンを見直すこと
いつも会う友人とは同じ話題になってしまいがち。でも、本当はもっと自分から話せることはないか? 友人について知りたいことがあるのではないか? 2人で一緒にしたいことはないか? 「いつものパターン」から抜け出す工夫をしてみると、より友情が深まる可能性があります。

 

「今さら手遅れだ」と感じているのは、あなただけではない


ただ、年齢を重ねて自分のペースや互いの関係性が固定されがちな大人の中には、「今さら変えられない」と思う人もいるかもしれません。本書でもこのように問いかけます。「昔からなじんだやり方を変えるのは難しい。それに、内気だったり、群れることが嫌いだったりと、人付き合いが難しくなる心理的な壁は誰にでもある。今さら手遅れだと考えている人もいるはずだ」。

実際、本研究の被験者にも「大人になると友人関係のあり方は変えられない、という考えを繰り返し口にする人はたくさんいた」のだそう。孤独だと言ったあと、「人生はそういうものだから」「忙しくて友人付き合いの暇がなくて」といった発言が続く――いわば諦めの境地を吐露する被験者は少なくなかったというのです。ですが、一人の被験者の観察を続けると、こんなこともわかってきました。「いくつになっても友達をつくることはできる」。