2017.7.25

カラダを冷やさず涼をとる、南インド家庭・スパイスの智恵

南インドの家庭で常用する夏に必要不可欠なスパイスたち。上段左から、消化を助けるクミンシード、ガスを抜くといった腸整効果のあるヒーング、サンバルに使うミックススパイスのサンバルパウダー、下段左からクミンパウダー、肝臓の働きを助けるスパイスの王者、ターメリック。

今年の夏はまた一段と暑いですね。でも電車や室内は、寒い!

暑いと寒いに翻弄され、毎年この時期はカラダが右往左往。

ところが今年、初夏に出会ったスパイスティーを飲むようになり、以前より夏バテしていないことに気がつきました。

ならば、もっと積極的にスパイスを食事に取り込もう、とインド人家庭の智恵を教わりに。

教えてくださるのは、南インド出身のご主人と結婚されて10年という、インド古典舞踊オリッシーダンスのダンサー、佳永子ドッデリさんです。

インド人にとって、食は「キッチン・ファーマシー」と言われるほど、家族の健康と密接に結び付き、そこを仕切るのはアンマ(お母さん)の仕事だそう。

佳永子さんが姑のジャヤラクシュミーさんから教わった夏バテしないコツ、その第一は、冷たいものを摂らないこと。

冷たいものを摂れば摂るほどカラダの内側はほてり、さらに冷たいものがほしくなる。ひいては全身を冷やしてしまうのだと言います。

インドのひとたちは徹底して冷たいものを避けるとか。当たり前のことのようですが、これがなかなかできないんですよね。わかっちゃいるけどやめられない…わけで。

まずは佳永子さんオススメの、常温で飲んでもおいしい飲み物からご紹介しましょう。

コツ1 常温でもおいしい飲み物

写真左のダニヤパニは水にコリアンダーシードをいれるだけのコリアンダーウォーター。分量の目安は、水2カップにコリアンダーシード小さじ2。一晩おいて、翌日、シードを漉して飲みます。ふわりと薫る甘く爽やかな香りがおいしい!不快な湿気を忘れさせてくれます。右はニンブーパニ。レモンとミントを入れたインドのレモネードです。水4カップにレモン3~4個を絞りいれ、ミントリーフ4~5枚、塩ひとつまみ、クミンパウダーひとつまみ、砂糖は好みで入れ(この日は小さじ6)、よくかき混ぜます。保冷できるポットなどに作り、早めに飲み切るようにします。

南インドではナンではなく、発酵しない全粒粉で作るチャパティが主流。次は、それをメインに、身体を温める生姜と、抗菌作用があり夏風邪などにも効果的と言われる蜂蜜を使った簡単なおやつプレートを作ってみましょう。身体の中から温まると、不思議と暑さが和らいでいきます。

コツ2 おやつに生姜と蜂蜜を

チャパティに添えたのはカルダモンを蜂蜜に漬け込んだカルダモンハニーと、生姜の薄切りに岩塩とレモンをかけただけの塩レモン生姜。カルダモンは脂肪を燃焼させるほか、リラックス効果もあるスパイス。できるだけ緑色の濃い莢を割って半日くらい漬け込みます。蜂蜜はマヌカハニーやインドでよく食べられている抗菌作用の強い生蜂蜜もオススメです。飲み物はジンジャーチャイ。美味しく作るコツは、最初に水でしっかり煮出すことです。

チャパティ
材料(5枚分)
アーター(全粒粉)150g
塩 少々
水 適量(その日の温度や湿度で生地が耳たぶくらいのなめらかさになるように)
ギー、バター お好みで

作り方
1 アーターに塩を混ぜて水を加えながらこねる。
2 ラップに包んで少し寝かせる。
3 生地がなめらかになったら5等分してまるめる。
4 直径15㎝くらいに伸ばして、フライパンで素焼きする。

ジンジャーチャイ
材料(2人分)
茶葉 小さじ2
生姜の薄切り 4枚程度
水 180ml
牛乳 180ml
砂糖 お好みで適量
チャイマサラ 適量(ガラムマサラでも) 

作り方
1 鍋底から1~2㎝くらいの少なめの水に茶葉としょうがの薄切りを入れ、エスプレッソほどの濃い茶色になるまでぐつぐつ煮出す。

2 煮出した鍋に水、牛乳、砂糖の順に加え、再び煮出す。
3 茶葉を漉しながらポットに注ぎ、最後にお好みでマサラを加える。

カルダモンハニー
好みの量の蜂蜜にカルダモンの莢を2~4個ほど割って入れ、半日くらい漬け込む。

塩レモン生姜
しょうがの薄切りに岩塩とレモン汁を振りかけ20分くらい置く。最初に作っておくとちょうどいい食べ頃に。


さて、アーユルヴェーダの考え方では、健康は消化と密接に結びついているとされています。どんなに身体によいものを食べても、消化できなければすべてアーマ(毒)になってしまうからです。1日のうちで消化力が強まるのは日中。だから昼食をしっかり食べて、夕食は軽くする。暑さが堪えている身体は消化力も落ちているので、思い切って夕食を軽くすると、翌朝、エネルギーが回復するように感じます。インドのお粥と言われるレンズ豆入りのキチュリ、そしてスープのようなあっさりしたカレーのサンバル。初めていただくお料理でしたが、お腹に優しく、寒暖差に緊張を強いられているカラダから、ホッと疲れが抜けていきました。

コツ3 夕食は軽くする

キチュリ(写真左)
材料(2人分)
米 半カップ
レンズ豆 半カップ
水 3カップ
ターメリック 小さじ1/3
クミンシード 小さじ1/2
ウラドダール、ヒーング 好みで少々
サラダ油(ギーでも) 少々
ニンニク、生姜 好みで少々
塩 小さじ2/3

作り方
1 米と豆をから煎りし、分量の水に30分つけておく
2 サラダ油でターメリック以外のスパイスとニンニク、生姜を炒める
3 そこに1の米と豆を入れ、ターメリックとサラダ油少々、水を加えて炊く
4 好みの硬さに炊き上がったら塩で味を調える

サンバル
材料(4人分)
玉ねぎ 1/2個
人参 1/2個 
ししとう 6本
なす 2本
トマト 1個
ダール豆(レンズ豆や緑豆でも)茹でたものを1カップ
梅干し 1~2個
ターメリック 小さじ1/3 
サンバルパウダー 小さじ2

★テンパリング用スパイス
マスタードシード 小さじ2/3
クミンシード 小さじ1/3
ヒーング 少々
ウラドダール 少々
赤唐辛子 お好みで
カレーリーフ お好みで

黒砂糖 小さじ1
香菜 適量
*野菜は季節や好みで量も種類も自由に
*スパイスはあるもので。ただしサンバルパウダーがあると味がまとまりやすい

作り方
1 野菜は一口サイズに切る
2 ダール豆は柔らかくなるまで茹でておく
3 鍋に3カップの水とターメリック、玉ねぎ、人参を入れて煮込む
4 なす、ししとう、トマトを加えて火が通るまで煮込む
5 サンバルパウダー、梅干し、塩、黒糖を加え、2のダール豆も加えて混ぜる。
6 テンパリング用スパイスを炒めて加え、香菜を飾る。


佳永子さんが作ってくれた飲み物もおやつも軽食も、インド料理のイメージを覆す優しく穏やかな味でした。腹もちがよく、身体の中からむくみが消えていく感覚も。

これから8月7日の立秋までは、特に消化器官をいたわる時期である「夏の土用」が続きます。スパイスで身体を温めながら食欲増進をはかり、元気に乗り切っていきましょう。

日本企業に勤めるご主人の転勤で、5年間デリーに近い都市グルガオンに暮らし、帰国したばかりの佳永子ドッデリさん。自由結婚が一般的ではないインドでは、お姑さんの力が絶大で、最初は戸惑いもあったそうですが、10年の歳月を経て、いまでは仲の良い母娘になりました。インドの女性はチャパティが真円に焼けて一人前と言われるため、練習に励む日々。インド滞在中は休んでいたオリッシーダンスを復活し、クラスレッスンも準備中だそうです。