皆さん、こんにちは、編集部の柳田です。
前回の小島慶子さんのトークセッションの模様に続き、「MASHING UP」のイベントで行われた興味深いセッションをいくつかご紹介したいと思います!
 

自分を知るためにも、お洋服の失敗はすべき
迷ったら、クローゼットのワードローブを思い出して!

左から伊藤忠ファッションシステム取締役の川島蓉子さん、株式会社ロフトワーク共同創業者の林千晶さん、株式会社プロノバ代表の岡島悦子さん、スタイリストの仙波レナさんが「アイデンティティとドレスコード」を議題に、自身のキャリアからファッションに対して鋭い考察がいくつかありました。

職種や立場は違えど、ファッションを心から楽しんでいる4人の女性たちは、たくさんの「失敗」から教訓を得てきたそう。
「どれが似合うかわからないっていう人は、ある程度買い物して失敗してもいいと思います。かといって、無理に挑戦しなきゃって思うのは違う。人が勧めてくれたからと言って、無理やりチャレンジしても自分の居心地がよくないはず。だから、イタくみえないか自分の中に客観性を持つこと、そして注意してくれる友達を作れればもっといいですよね!」と林さん。
スタイリストの仙波さんは「服を好きな人って、自分のことを本当にわかっている人だと思います。体型が変わったときに細やかな素材や、良い縫製がどう自分を魅せてくれるのか、分かっておくだけで与える印象は変わりますよね」。
これに共感するように、林さんは「たしかに、若いときは同じものでも『色』を変えていたけど、いまは『素材』をアップデートするようになったかも。買うか買わないかどうしても悩むアイテムがあったら、クローゼットを思い出せば良いと思う。それで思い出せるワードローブは自分の"テッパン"ってことだから、それに合うかで考えれば、買ったのに全く着ないってことはないんじゃないかな?」
「服を着こなすか」、「服に着られるか」といった話をよく聞きますが、自分を本当の意味で理解すること、それが一番の「着こなす」近道なのかもしれません。

 

投資するお金と諦めるタイミングを先に決めておくのが「起業」

ミモレのインタビューでも株式会社タスカジ代表の和田幸子さんは「大企業をやめるわけ、やめないわけ」というテーマでのセッションにご登壇

やりたいことがあっても、いざ起業しようとなると、経済的な不安や失敗の恐れから尻込みしてしまう。家事代行サービスを立ち上げたタスカジの和田さんも、もとはその一人だったそうです。

仕事と子育てに疲弊した時に、家事代行サービスの料金の高さを身をもって体験したという和田さん。その実体験がいまのタスカジに活かされています

「会社員時代、起業を考えたときにまず、会社をやめることのリスクについて考えてみたんです。①借金を抱えてしまうかもしれない②失敗した時再就職できるのか不安③普通に生活できるのか心配という3つが浮かびました」しかし、1個ずつそのリスクに向き合い、調べてみると意外に解決できるものだったそう。「独身時代の貯金を切り崩せば、ある期間まではいけるということが分かりました。最初から起業に使うお金は200万円と決めて、もし失敗したとしてもそれは勉強代だなと、思うようにしたんです。やはり最終的には世の中のために私しかできないことをやりたかった、それが後押ししてくれました」。

 

「本業」をたくさん持つことを、社会に認めてもらうためには

本業とは交わらない〇が副業であるのに対し、複業はそれぞれの〇の領域が交わることもある。〇の大きさも重要度に比例している。一番左で進行を務めるのはミモレのインタビューでも好評だった横石崇さん

本業を複数持つ「複業」という働き方は、そもそも成り立つのか、上司や会社に認められるのか。株式会社ハピキラFACTORYの代表取締役を務めながらソニーに勤務する正能茉由さんはいくつかポイントがあるといいます。「今週この案件をどこまで持っていきたいか自分で設定をすることと、それをこまめに報告すること。私、上司を追っかけまわして報告してるくらいです(笑)」
また、一般社団法人at Will Work代表理事で、株式会社お金のデザインで広報を務める藤本あゆみさんは「何を成し遂げるか、それを何ではかるか、ということを常に考えています。広報の仕事の達成度を何で見るかといえば、メディアに掲載された数など、具体的なもの。これをしないと、会社に何時間いたか、といったことで仕事を評価することになってしまいます」
「それ、すごく大事! そうじゃないと、あいつ何やってるんだ、って上司も不安になっちゃう」と正能さん。
「複業」が広く社会で認められるのには、まだ時間がかかるかもしれません。ただ、上司や身近な人に「複業」を認めさせる秘訣は「ホウレンソウ」といった仕事における基本のキだったようです。

 

私たちは、無意識のうちに価値観を狭めている
チャレンジする一歩を。


MASHING UPのセッションはどれも(小島慶子さんの言葉を借りれば)、何かの「呪い」を解く"術"について議論していました。決まりきった慣習や制度のせいで、私たちがその「呪い」にすら気づかないことは往々にしてあります。価値観を狭めて、心の奥に「本当はやりたいこと」を封じ込めているかもしれません。何かにチャレンジする一歩を踏み出すためにはまずその「呪い」に気づくことから始まるのかもしれません。


また、第二期ミモレ大学では、今回ご紹介した藤本あゆみさんなどが「新しい働き方」について講演してくれます、ぜひご応募くださいね!

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撮影・文・構成/柳田啓輔(編集部)