美味しい食べ物にお値ごろファッション、可愛いアイドルと極楽エステ――その全部が揃った韓国・ソウルは、何度でも行きたくなる旅行先。でもたまには「いつもと違うソウル」も見てみたーい!ということで、編集部・バタやんと、私、ライター・渥美志保の「オチビさん二人組取材班」は一路韓国へ。目指すは、ソウルに新たに誕生したスポット、そして、ソウルがいつもと違って見える物語。その全貌を、笑い多めの6回レポートでお届けしたいと思います!


ソウル市庁舎、それはガラス張りの巨大な“反り立つ壁”


私たちがまず訪れたのは、全面ガラス張りの外観で知られる「ソウル市庁舎」です。その独特な形を見た私が連想したのは、スポーツ番組「サスケ」の中に登場する「反り立つ壁」。余計に分かんない(;’∀’)と言われちゃいそうですが、とにかく!日本人の「お役所」の概念の斜め上をいく、ビックリな形をしています。
最初に遠くから見た時、バタヤンと私は「あれってなんですか?ま、まさかあれが市庁舎?」「いやいや、いくらなんでも。なんか異常に儲かっちゃってる大企業かなんかでは?」なんて会話をしていたのですが、それがまさかの市庁舎で「うわあああ」となりました。

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正面入り口から入るとそこは9階建ての一番上までどどーんと吹き抜けで、めちゃめちゃ明るく開放感たっぷり。内部の壁面、その名も「垂直庭園」は、7階の高さまで植物が植え込まれています。ホントに本物?と疑って(疑うんか!)触ってみましたが、もちろんすべて生の植物。14種類7万本が庁舎内の空気を清浄に保っているんだとか。そのほかにも館内の3割の電力を自然エネルギーで賄うなど、なかなかに現代的なこだわりが詰まった場所です。

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オチビさん二人組取材班の背後、左手にあるのが「垂直庭園」。右手にあるのは韓国の現代アーティストの作品「メタ叙事ソボル」。積み重なる無数のバルーンが、ソウルの歴史を表しているのだとか。
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執務中のバタやん市長。隣接する旧市庁舎(現在はソウル図書館)内にあった市長室が再現されていて、誰でも“ソウル市長ごっこ”ができます。もし、やりたければ、って話ですがw


市庁舎内には「旧市庁舎の市長室」と「現市庁舎の市長室」の両方が再現されています。重々しく威厳あふれる「旧」に対し、廃材などを再利用した「新」はずいぶんポップな仕上がり。印象的なのは「新市長室」の壁面、実際の市長室にもある無数に貼られたカラフルな付箋です。ガイドさん曰く――

「これは実は市民が誰でも自由に貼り付けられる“要望書”なんですよ」
こういう新しいことを「前例がないんで…」とか言わずに即始められるのが、韓国のスピード感と変貌力。日本の役所だと「自治体への要望書はこの書式で、この窓口でしか受け付けません」とか言われそうですが、こんな感じにだと要望書を出すハードルが一気に下がりますね。何しろ韓国の市民のパワーは、デモによって政権交代を実現させるほどの力強さ。政治の側から市民に歩み寄るのは、市民を無視しても得なことは何もないとわかってるからだろうなあ……なんて、羨ましく思ったりして。

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市庁舎内にある現在の市長室。傾いた本棚とか、廃材を使ったテーブルと椅子とか、なんとも軽やか。そしてパク・ウォンスン現市長(@タテ看)のモデルライクな立ち姿!
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無数に貼られたカラフルな付箋は、ひとつひとつが市民の要望書。ここには「私って美人!」とか「**くん好き!」みたいなのも貼られていますが(^^;)www



南大門&文化備蓄基地――ソウルの歴史が見える、新旧スポット


さてここで皆さんにクイズっす!「釜山」「慶州」のような、「ソウル」の漢字表記って知っていますか?
答えは――なし。ソウルは漢字がくる以前からある古語「首都=ソボル」がなまったものなので、漢字表記がないんです。この町を首都に定めたのは、韓流ドラマ『六龍が飛ぶ』で知られる李朝朝鮮の祖イ・ソンゲ。その当時のソウル(漢城(ハンソン))は周囲にぐるりと壁が巡らされていて、現在も残る南大門、東大門などは、当時から残る出入口なんだそうです。

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南大門は14世紀から残る貴重な建築物――だったのに2008年に酔っ払いの放火で焼失。ガイドさんは「韓国第一の国宝が!」と今も怒り心頭で語っていました。5年の歳月をかけて復元し、現在は夜のライトアップも美しいです。


もうひとつ、ソウルの歴史が感じられる場所「文化備蓄基地」をご紹介しましょう。こちらはワールドカップ競技場にほど近い公園内に点在する、博物館や音楽ホール、イベントスペース、カフェなどを含む6つの施設で、70年代に使われていた5つの石油備蓄タンクを作り替えたもの。イ・スンギ主演の人気ドラマ『花遊記』のロケ地としても使われています。施設内で行われるイベントは基本的に無料(一部有料)で、公園散策と合わせて訪れたい場所です。

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公園入口に一番近い6番タンク前には、ソウル市のキャンペーンワード「I SEOUL YOU」の看板が。黄色い帽子でほとんど看板の一部と化しているバタやん

韓国動乱の70年代に軍事政権下で作られ使用されていたこの場所は、ながらく一般人には秘密にされていて、人々が近寄らないよう監視されていたのだとか。そんなわけで、ばれないように外観は「迷彩柄」……なんだけど、あれ、この6番タンクは、なんか柄があっていないような気が。ガイドさん曰く――
「6番タンクは2番タンクから外した鉄板を再び組み立てて作ったのですが、模様を合わせるためにふった番号を、工事のオジさんたちが無視して組み立ててしまい……」
ぶはっ!なんという韓国的な自由さ&大胆さ。「でも結果的に、そのほうがカッコよくできちゃった気がします」と笑うガイドさん、あなたもなんて素晴らしく韓国人!

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2002年のW杯の際、競技場の近くに石油タンクがあるのは危ないということで、施設は廃止に。利用法は一般公募され、こうした施設として昨年にオープンしたそうです。


東大門デザインプラザ――都市のど真ん中に不時着した宇宙船


さて最後にもうひとつ、韓国らしいダイナミックな施設をご紹介しましょう。
それは東大門市場に行ったことがある人にはおなじみの“DDP”こと「東大門デザインプラザ」。不思議なカーブを描くフォルムと、ランダムに内部の光を透過する鈍い銀色のボディは、まるで都市のど真ん中に不時着した宇宙船みたい。あまりに大胆、あまりに巨大、あまりに(まったくもっていい意味で!)意味不明なその存在感は、もう「圧倒的」という言葉しか浮かびません。
実はこの建物の設計者は、東京オリンピックの「幻の競技場」を手掛けたあのザハ・ハディッドさん。どちらかといえば年配の方が多かった東大門地区は、この建物によってイメージを一新。若い人たちが集まり、ハイブランドがショーを行うようなエリアへと生まれ変わったのだとか。ああああああ、東京もやっとくべきだったのに!!と、バタやんと私が地団太踏んだのは、言うまでもありません。

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まるで『ブレードランナー』の絵コンテみたいに見えますが、私が普通のカメラでパシャと撮っただけ。この建物の素晴らしい存在感、デザインの斬新さが分かります。
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こちらはDDP内の石畳で、ちょっと見えずらいのですが、部分によって微妙な凸凹が。なんと目が不自由な方を誘導する、いわゆる「点字ブロック」なのです。「“デザインする”ってこういうことだよ!」と、ミモレ取材班のオチビさん二人組は、地味に大興奮。

DDP始め、空間づくりが大胆なソウルはインスタ映えスポットもダイナミックでとってもユニーク! 次回は、大人がはしゃげるフォトジェニックなスポットをご紹介します。

撮影/PENTA PRESS/Seoul Metropolitan Government、
渥美志保、川端里恵(編集部)
取材・文/渥美志保
構成/川端里恵(編集部)

 

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