美味しい食べ物にお値ごろファッション、可愛いアイドルと極楽エステ――その全部が揃った韓国・ソウルは、何度でも行きたくなる旅行先。でもたまには「いつもと違うソウル」も見てみたーい!ということで、編集部・バタやんと、私、ライター・渥美志保の「オチビさん二人組取材班」は一路韓国へ。5回目の今回は、防弾少年団(BTS)の登場で、文字通り世界を席巻し始めたK-POPアイドルを青田買い!「イマドキのK-POPアイドルの作り方」を、芸能事務所JFLOエンタテイメントの女性マーケティング理事、オ・ヒョビンさんに伺いましたー。

●まさかグラミー賞も受賞!? 防弾少年団(BTS)から新たに始まったK-POP旋風


「防弾少年団(BTS)」。最初にその名を聞いた時は、若い世代を勧誘するための自衛隊の下部組織かな~とか思っちゃった「防弾少年団」。アジアで人気のK-POPアイドルグループはこれまでもいくつもありましたが、「あのグループはアメリカでもすごい人気らしいよ」と聞いても、「それちょっと盛ってるんじゃないの~」なんて思っていたのですが、BTSのブレイクはどうやらマジでほんとにすごいようです。

ミュージックアワードにて。防弾少年団(BTS)は2017年に続き、2018年も「トップ・ソーシャル・アーティスト賞」を受賞。 防弾少年団/BTS, May 20, 2018 : Boy Band BTS attends the 2018 Billboard Music Awards 2018 at the MGM Grand Resort International on May 20,2018 in Las Vegas, Nevada. / AFP PHOTO / LISA O'CONNOR  写真:AFP/アフロ

彼らが全世界的に注目を集めた最初は、おそらく2016年。ツイッター社設立10周年を記念して発表された「この30日で最もRTされたアーティスト」ランキングで1位を獲得、同時に発表された「この30日で最も言及されたアーティスト」ランキングでも3位を獲得したことです。主催した経済誌Forbesの記事を読むと、書き手が「1位のBTSって誰これ?」と戸惑い、どう触れたもんかと迷った挙句に「(2位の)先月のカニエ・ウエストはK-POPスターに打ち負かされて……」とよくわからん言及になっていて笑えます。

そして翌年のビルボード・ミュージック・アワードでは、SMS上で最もシェア/RTされたアーティストに贈られる「トップ・ソーシャル・アーティスト賞」を受賞。この部門が創設された2011年以来、不動の連続受賞だったジャスティン・ビーバー(こちらもYouTubeから出たスター)を抑えての獲得。さらには2019年2月に発表のグラミー賞にK-POPで初のノミネートって……もはや留まるところを知りません。

JFLOエンタテイメントのヒョビンさんはいいます。
「BTSが世界へとマーケットを広げたことは、K-POPアイドルの在り方を全く異なるものに変えてしまったと思います。彼らを見ている後輩のアイドルたちは、最初から世界を目指しているし、世界のレベルのダンスや歌唱力を目指しています。K-POPアイドルはビジネスとして成立するようになってから時代を経ていますから、韓国国内にはそういう教育システムも充実していますしね」

某施設でお出しいただいた缶コーヒーが、ジミン、シュガ、ジンの何とも素敵なBTS仕様。全部集めるためにコンビニを何軒もハシゴしたくなる!気持ちをグッと抑えて、仕事しました。

 

●SNSで24時間すべてを見せて、全世界でファンを獲得


“韓国のアイドルの元祖”として日本人なら誰もが知っているのが東方神起ですよね。彼らが所属するのは韓国で最大手の芸能事務所の1つ、SMエンタテイメント。江南のCOEXにある「SMタウン」は、彼らを含めSMに所属するアイドル/アーティストたちのグッズが買えるなど、あれやこれやで楽しませてくれる場所で、いつもファンであふれています。
もちろん今なお日本で絶大な人気を誇る東方神起なのですが、実は彼らはデビューから15年たった昨年の秋まで、事務所の方針でSNSを何ひとつとしてやっていなかったんですね。

SMタウンにいらっしゃった東方神起のお二人は、バタやんがまた抜けできそうな大きさ。ちなみに彼らの立ち位置は、「K-POP」でなくて「J-POP」。こちらは日本の事務所の方針。

「東方神起の時代は、アイドルの生の姿をなるべく見せない“神秘主義”が成功していた時代なんです。でも――これもBTSの成功が変えてしまったことだと思いますが――最近は“コミュニケーション”が大事。友達みたいな感じで、アイドルは24時間を見せなければいけません。だからモラル面や人格面でも完璧が求められるし、メンバーそれぞれの自己管理がすごく大事になってくるんです。ビデオライブもするし、食事とか練習とか楽屋とか、全部見せますから、アイドルもスタッフも休んでる時間はありません。でもそれによって海外のファンとつながりやすくなり、思いもかけない国の人がコメントを書き込んでくれたり。新しいマーケットが開けたなと思います」

SMタウン内には「SM TOWN COEX ARTIUM」という専用劇場も。劇場前の大きなビジョンの中で踊るお嬢さんたちに釘付けのバタやん。こちらで上演された「SM ROOKIES SHOW」にはNewkiddのチ・ハンソルくんも出演。

そんな猛烈に大変そうな韓国芸能界で、ヒョビンさんが現在プロデュースを手掛けるのが、男性アイドルグループ「Newkidd」。中心メンバーのチ・ハンソルくんは、SMのデビュー予備軍(ジャニーズJr.のような)「SMルーキーズ」の一員として、最も注目を集めていた男の子のひとり。昨年、SMを退職し、KBSのオーディション番組「The UNI+(ザ・ユニット)」で勝ち残り、番組がプロデュースするグループ「UNB」の一員としても活躍しています。SHINeeのテミンくんのバックで踊っていたこともあり、同年齢で仲良しということで、番組ではこんな共演も。(「よく知ってる友達なんです」とテミンくん)
 

今年の8月には来日イベントも開催したNewkidd。ネットでストリーミングで行ったデビューライブは、世界中で9万人の人が見てくれたのだとか。世界を股にかけて活躍するK-POPスターになるべく、頑張ってね!

Newkiddメンバーから日本の皆さんへメッセージをいただきました。

オ・ヒョビンさんを囲んでポーズをとるNewkiddのメンバー
オリジナル曲とBTSのカバーの二曲、歌って踊ってくれました。
メンバーそれぞれ特技を披露。日本語でも挨拶を。
アイドルに囲まれて、少し照れ気味のバタやん。みんな肌がツルツルで唇がポロンとしてて、まるで女の子みたいに可愛いんですよね。ほんとに困りますねえ(何が)。

私たち取材班の帰国後のことでしたが、BTSが着用していた原爆のTシャツに端を発し、日本の音楽番組の出演中止になったのも記憶に新しいところ。SNSの発言も今や世界中から注目を集めます。アイドルやアーティストの原石たちに、ティーンエイジャーにも満たない年頃から、ダンスと歌、演技を教育、さらに人とのコミュニケーション、立ち振る舞いに至るまで24時間気を配り、しのぎを削る昨今の韓国芸能事務所。しかもかなり男性社会の業界の中で、マーケティングを一手に担うオ・ヒョビンさんを始め、ソウルで働く女性たちのお仕事事情はいかに?

次回は、韓国のエンタメ、デザイン、ファッション業界で働く女性たちのインタビューを掲載します。やりがいは? 転職事情は? 私生活との両立は? 業界の男女格差は感じますか? などなどみなさん率直なご意見を話してくれました。お楽しみに!

撮影/PENTA PRESS/Seoul Metropolitan Government、
渥美志保、川端里恵(編集部)
取材・文/渥美志保
構成/川端里恵(編集部)

 


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