舞台で見られるこの豪華な顔ぶれ
田中圭に林遣都、三浦春馬、松坂桃李、窪田正孝、松田龍平。何を好みの男の名前を並べているんだって? 違わないけど違います。彼らに共通しているのは、みなさんこの2月に主演舞台が上演されていること。この豪華な顔ぶれを見ただけでも、今、俳優たちの間で「舞台」というフィールドがどれほど求められているかおわかりいただけるのではないでしょうか。
しかし、ほんのひと昔前まで、若い売れ線の俳優がバリバリ舞台に出るというのは、考えにくいことでした。たとえばキリよく2000年ジャスト。当時、エンタメの主戦場である連ドラで主演を張っていたのは、ジャニーズと芸人を除くと以下の通り(1番手表記のみ抽出。ジャニーズを除く理由は後述)。
◆『モナリザの涙』『涙をふいて』の江口洋介
◆『アナザヘヴン〜eclipse〜』の大沢たかお
◆『ラブコンプレックス』の唐沢寿明
◆『神様のいたずら』の岸谷五朗
◆『天気予報の恋人』の佐藤浩市
◆『サラリーマン金太郎2』の高橋克典
◆『真夏のメリークリスマス』の竹野内豊
◆『オヤジぃ。』の田村正和
◆『明日を抱きしめて』の松本幸四郎
◆『ストレートニュース』の三上博史
◆『スタイル!』の本木雅弘
◆『合い言葉は勇気』の役所広司
◆『花村大介』のユースケ・サンタマリア
一方で、00年は若手も伸び始めた時期で、エポックメイキングだったのが『池袋ウエストゲートパーク』。この作品を機に窪塚洋介、妻夫木聡、坂口憲二らが飛躍。さらに世代的に彼らと同じカテゴリーで言えば
◆『愛をください』『YASHA-夜叉-』の伊藤英明
◆『20歳の結婚』『やまとなでしこ』の押尾学
◆『ナースのお仕事3』『喪服のランデヴー』の藤木直人
あたりが、ブレイク俳優として脚光を浴びていました。
この中で00年、もしくはその前後の99年、01年で舞台出演を行っていたのは
◆『温水夫妻』(99年)、『カノン』(00年)、『マクベス』(01年)の唐沢寿明
◆『Defiled』(01年)の大沢たかお
◆『地図にない街-ドヘネケヘキシン-』(99年)、『さくらのうた〜幻の夏…忘れさられた小さな心たちへのレクイエム〜』(00年)、『クインテット』(01年)の岸谷五朗
◆『セツアンの善人』(99年)の高橋克典
◆『新・恋山彦』(01年)の田村正和
◆『マトリョーシカ』(99年)、『夏ホテル』(00年)の松本幸四郎 ※歌舞伎は除く
◆『八月に眠れ 〜リム亭奇譚〜』(00年)の役所広司
の7人。窪塚、妻夫木、坂口、伊藤、押尾、藤木ら当時の若手に至っては、99年からの3年間で誰も舞台には出ていません。
当時はまだまだ舞台に出ると言うと、心ない人たちから「(映像からの)都落ち」「下積み」なんて扱いを受けることもあった時代なのでした。
それが今では冒頭に述べた6人にとどまらず、春以降も『クラッシャー女中』の中村倫也、『春のめざめ』の伊藤健太郎、『ハムレット』の岡田将生、『お気に召すまま』の坂口健太郎と旬の若手俳優が続々と舞台に登板。なぜこれほど舞台人気が高まっているのか。エンタメ界の地殻変動から若手俳優の仕事選びについて考えてみたいと思います。
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