環境問題、2つの国に住んでわかった“ご当地流”の呪縛_img0
 

シンガポールに住み始めて、最初に覚えたのは「水筒」を持ち歩くことでした。街中では、スポーツ用のものを腰からぶら下げている人、レストランで自分の水筒を机に出して飲んでいる子どもなど、多くの人がマイウォーターボトルを持ち歩いているのを見かけます。

シンガポールに3日もいれば、日本ほど自動販売機やコンビニ的なお店がないこと、ホーカー(屋台)やレストランでは水やお茶にもお金がかかること、暑くて頻繁な水分補給が必要なこと……に気づきます。必要に駆られて、私たちもマイウォーターボトルを購入して持ち歩きはじめました。

ちょうど同じころ、プラスチックごみが海でマイクロプラスチックとなり魚などに取り込まれ、私たちの体内にも入ってくることについて日本でも報道がされており、ストローを竹や紙で作るというお店もでてきました。

以前、日本の過剰包装についても取り上げましたが、日本はプラスチックごみへの意識が先進国の中ではあまり高いとはいえないのではないでしょうか。シンガポールの水筒文化は環境のためというわけではなかったかもしれませんが、日本もぜひ取り入れたらいいと思います。

一方で、シンガポールのエコ意識が一体どうなってるんだ!? と突っ込みたくなるのは、冷房のきつさです。映画館などは冷蔵庫の中のようなので、必ず長袖長ズボンで、さらに上着を持参。これもまた、シンガポールに住み始めて覚えたことでした。

環境問題、2つの国に住んでわかった“ご当地流”の呪縛_img1
 

先日、長時間の英語の試験を受けにいったときのこと。エアコンギンギンは予想してもちろん長袖、靴下も履き、上着も2枚持っていきました。それでも、寒いのなんのって。隣の人も上着を着て腕をさすっていたので私が寒がりなのではなく、一般的にも寒かったと思います。途中からガタガタ震えるくらい手足が冷たくなり、入口で会ったTシャツとビーチサンダルのお姉さんがどうやって試験を終えられたのか心底不思議に思いました。

あるとき、シェアオフィスのような場所でシンガポーリアンの女の子がエアコン対策で持ってきている冬物の厚手ストールを肩にかけながら「…この部屋、暑っ」とエアコンの温度をピピピッと下げていて、「いやいやいや、まずストール取ろうよ‼」と噴き出してしまいました。

どうもシンガポールは、エアコンが効いていれば効いているほど「もてなしている」というか、サービスが行き届いているとみなすような節があります。もちろん暑い外から歩いてきて建物に入った瞬間など、冷気がありがたい時もあるのですが……。この点に関しては、シンガポールの方々には日本の「室温28℃」を見習ってほしいです。

ところ変われば、「当たり前」が違い、もてなしの方法も違う。ただ、世界共通の問題であるはずの環境問題に対してのアプローチ方法はグローバルで共有して、「そういうものだから」という各国の呪縛を脱していくのもありなのではないかなと思います。