週末、知人に「友達のカレー屋さんは週2日だけやってるんですよ」と教えてもらったカレー屋さんに行ってきました。「いつも行列ができているので、開店直後を狙うのがオススメ」とのアドバイスをもらい、開店と同時にIN!

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オーナーシェフの阿部由希奈さん。テキパキと動かれながら、明るくお店を切り盛りする姿が印象的でした。
 
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開店と同時に店内は満席に。阿部さんはテレビ番組『セブンルール』にも出た方だという事実、来店後に知りました。

阿部さんのお店and CURRYは、木曜日と日曜日のみ週2日の営業(お店だけではなく、出張カレー屋さんとしての活動も)。

「なぜ、週2日の営業なんですか?」と素朴な疑問をぶつけてみると……

「実は業務委託で人事の仕事を請け負っていて、会社務めもしています」と阿部さん。

「えっ!」と私。

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この日のメニュー。毎回、新しい味に出会えるのもand CURRYの魅力。ジャンルは「創作カレー」で、旬の素材を使ったカレーが3種エントリー。「単独。そして、ミックスでも楽しめるので“2種のあいがけ”がおすすめ」と知人から知恵を授かっており……でも、3種とも魅惑的すぎて、なかなか決められず(苦笑)。

「社会人になってから、ずっとハードに働いてきたので、一旦、ゆっくり働く生活に切り替えたくなり、仕事を変え、働き方を見直したんです」。ところが、いざ自由な時間をつくってしまうと、持ち前の貧乏性がウズウズしてしまったのだと言います。「この時間を使って、何かを始めたい!とソワソワしてしまったんです」と、阿部さんは動き出します。

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同行者は「牡蠣と菜の花のカレーと島らっきょキーマ」のあいがけ。もちろん島らっきょキーマを分けてもらいました(笑)。滋味深い優しい味わい。でも、それぞれにパンチがあるから不思議♪
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私は「牡蠣と菜の花のカレーとキャンディキャベツのクゥトゥ(ココナッツと豆を使ったインドのやさしいカレー)」。トッピングを少しずつ混ぜながら、味を変化させていく楽しさがあります。


「その頃、カレーを週に3回くらい食べていたんです。『あれ、もしかして、私、カレーが好きなのかも?』と(笑)。カレー情報を発信するメディアがあってもいいな、と軽い気持ちでFacebookページを立ち上げました。女子会ができるカレー屋さんを紹介したり、カレー粉やスパイスからカレーを作ってみたというような記事を書いたり……とにかくカレーにまつわる情報を発信し続けてみたんです」。そうしているうちに、見事に(!?)、スパイスから作るカレーの世界にハマってしまったのだと言います。

「そんな時に、私の発信するカレー情報を見ていてくれた、立ち飲み屋さんの方に『うちの店でカレーを出してみたら?』と声をかけてもらったんです」。そうして、月1回のペースで間借りしながらカレー屋さんをスタート! 

  • 「好き」を仕事に。カレー屋さんを始めても、会社員を続ける理由_img9 こちらも知人から「絶対に追加して」と言われたタマゴのアチャール(とろーりスパイシーな半熟卵)。カレーがよりマイルドに楽しめました。
  • 「好き」を仕事に。カレー屋さんを始めても、会社員を続ける理由_img10 イチバン手前は、追加オーダーした「ハリッサ(モロッコやチュニジアで使われている調味料)」。パンチがある辛さ! ちょっとずつ混ぜながらいただきました。
  • 「好き」を仕事に。カレー屋さんを始めても、会社員を続ける理由_img11 右から、今日のラッシー「文旦とカルダモン」とターメリック・ミルク。ターメリック・ミルクは、家ですぐに真似してしまいました(笑)。


「それが今やご自身のお店を構えて。すごいですね!」と言うと、

「もともとカレーは趣味だったので、私自身も“2足のわらじ”が成立するとは思っていませんでした。『やるぞ!』と腹をくくって決断したというより、結果的に“2足のわらじ”を履いていたという感じなんです」。

今、お店もオープンし、さらにカレーの仕事(夏には書籍の出版も!)をいただくようになってからも、人事の仕事を続けているのには理由があると言います。

「私の働くテーマは、“新しい働き方”や“女性の働き方”と向き合うことです。誰もが好きな仕事を好きな場所でやれるようになるためには、会社の制度や採用はどのようにあるべきなのか、人事の仕事を通して考えたり、伝えたりすることができると考えています。実際に、自分がカレー屋さんを始めたことで、自由な働き方を自分が体現することになり、気づけたことがたくさんあるんですよ」と阿部さん。この経験が、これからの新しい働き方を実験的に自分が進んで取り組んでいくことが会社への貢献やPRそのものになるのでないか、と“2足のわらじ”で働くことに対する意図がとっても明解。

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お店を出たら、行列が。阿部さんのカレーを求めて、カレー猛者(?)たちが各地から訪れるのだそう。

「“2足のわらじ”生活で大変なことは?」と問うと、

「時間のやりくりや頭の切り替えが大変です。どうしてもカレーのことを考えてしまうので、(リモートワークも可能な職場ではあるけれど)人事の仕事をするときは出社をして、集中できる環境づくりを意識的につくっています」と阿部さん。

田中美和さんが以前に記事「副業はお金より愛で選ぶべし」を書いてくれましたが、阿部さんの副業のあり方やヴィジョンの持ち方は、その好例だと思うのです。愛のある副業を持つことは、私自身も模索して行きたい人生のテーマ。皆様と、そんな寄り合いも開催してみたいです!

今日のお品書き
本日からフードジャーナリスト小松宏子さんの連載が始まります。記念すべきは「東京で今買うべき手土産」。さっそく紹介されているグラノーラバーを買ってみたいと思いました♡