2月23日に行われた、寄り合いイベントの第3回目。今回は、以前、「オトナのための性教育」でもご登場いただいた、NPO法人ピルコン代表理事の染矢明日香さんをお迎えしました。

自己紹介の後、講演に先駆けて、染矢さんからは注意事項が。「今日は性に関する話をたくさんしますが、無理せずご自身のペースでご参加ください。もしもこれ以上は聞きづらいと思ったら、出入りも自由です。後半はワークショップを行いますが、言いたくないことは話さなくていいし、プライベートな内容は“ここだけの話”にしましょう。」性の話は、自分の過去の経験によって受け取り方もさまざま。和やかなイベントであっても、細やかな配慮が必要な内容であるということを理解しておくことが大切なのかもしれません。

テーマは「親なら知っておきたい今どきの性教育事情」。まだまだ進むべき方向性が見えにくい家庭での性教育ですが、染矢さんの講演には、実践のヒントがもりだくさん。参加者同士も本音で語り合った、濃密な約2時間半をレポートします!


まずは自己紹介から。性教育についてのお悩みもシェア


講演とワークショップ、質疑応答で構成されたこの日のイベント。まずは、染矢さんからあらためて自己紹介を。大学時代に予期せぬ妊娠・中絶を経験したことやそれをきっかけに学生団体ピルコンを立ち上げたこと、現在ではNPO法人として、助産師や産婦人科医の方々と連携し、性の健康教育を社会に広める活動をしていることなどを話されました。

アイスブレイクで緊張をほぐしたら、今度は参加者の自己紹介タイム。併せて「いま知りたい性教育のこと」を伺うと、「性を説明する際にどんな言葉を使えばいいかわからない」「娘にからだの守り方を教えたい」など、まさにいま直面しているお悩みが続々。

染矢さんは、「性教育はひとつの大正解があるわけではなく、その子に合った伝え方が大事。そういう点で家庭の性教育は、日々、子どもの変化や反応を間近で見ながら丁寧に向き合えるのが利点ですね。」と。その後、いよいよ講演がスタートしました。


教科書ではわからない、知りたかったヒントがたくさん!


最近は、PTAや自治体に依頼されて保護者向けの性教育講座を開くことも多いという染矢さん。約30分間の講演は、私たちが本当に知りたかった内容が凝縮されたとても充実した内容でした。以下、ほんの一部ですが、講演内容を抜粋します。

講演中は、時にユーモアを挟みながら、穏やかな口調で淡々と話す染矢さん。そんな話し方自体も、家のなかで性の話題を出す際の参考になりそうでした。

性教育のゴールとは?
・ 性教育のゴールは人それぞれ。
・ ピルコンでは主に、ユネスコがWHOなどと共同制作した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を指針として「性の健康の実現」(身体も心も健康な状態)をめざしている。
・ 性行為の有無に関わらず、自分らしさを認め、自分の身体を大事にできるようになること。また、多様なセクシュアリティを尊重し、対等で幸せなパートナーシップを築けることが目標。

性を語りかけるポイント
・ “肯定的”“科学的”“多様性を前提”に!
・ 性をポジティブに語れないと、正しい情報へもアクセスしにくくなる。
・ 日々の生活のなかで継続的に行うことが重要。

プライベートゾーンのルール
・ 「水着で隠れる部分+口」=「プライベートパーツ」
・ 汚い、恥ずかしいところではなく“あなただけの大事なところ”。
・ 自分や他人のプライベートゾーンを、勝手に見せたり、触らせない。
・ ひとりでいる時は、自分のプライベートゾーンを触ってもよい。
・ 人前で触るのは性被害のサインの場合も。「どうしたの?」とひと声かけて。

初経を迎える準備
・ 平均年齢は11〜12歳頃。ただし個人差は大きい。
・ 一緒に可愛いポーチやブラを買いに行くなど、前向きに準備を。
・ 初経前にはおりものが増えるので、おりものシートで練習してみても。
・ 生理痛は当り前じゃない。「痛かったら病院に行ける」ことを伝えて。

精通を迎える準備
・ 平均年齢は12〜13歳頃。ただし個人差は大きい。
・ 射精を“汚い”と感じてしまう子も多いので、「大人の身体に近づいていて喜ばしいこと」と話してあげて。
・ 夢精があった時は、下着を水洗いして洗濯機に入れるように伝えておく。

さまざまなトピックを網羅した内容はとてもわかりやすく、みなさん熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

 
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