あいみょんさんの大ヒット曲「マリーゴールド」があるゲーム音楽のBGMに似ている、という話がネットで話題となっています。「この曲、どこかで聞いたことある……」という話は、実はヒットの法則と密接に関係しています。
「マリーゴールド」はあいみょんさんの5番目のシングルで、恋人同士の想い出を歌ったラブソングですが、今は別々の道を歩んでいるとも感じさせる、ちょっと切ない仕上りになっています。昨年のNHK紅白歌合戦でも披露されましたから、耳にしたことがある人は多いでしょう。
このところマリーゴールドをめぐって、20年前のゲーム「メダロット2」のBGMに似ているという話がネットで盛り上がっており、中にはあいみょんさんがこの曲を「パクった」のではないかと言う人もいるようです。実は、昨年も同曲が小沢健二さんの楽曲に似ているという話が浮上したことがあるのですが、どこかで聞いたことがある、という印象を受けることには理由があります。
音楽について少し詳しい人であればピンと来るかもしれませんが、マリーゴールドのサビ(楽曲の中でもっとも中心となる部分)におけるコード進行(和声進行)は、俗にいうカノン進行と呼ばれる形式になっています。カノン進行というのは、誰もが耳にしたことのあるクラシックの名曲「パッヘルベルのカノン」で使われたコード進行のことで、J-POPでは定番中の定番とされる形式なのです。
カノン進行に少し手を加えると、長調(メジャー)と単調(マイナー)がうまくミックスされ、喜びと悲しみが入り交じった印象になりますから、多くの日本人の心を揺さぶります。
古くはフォークソングの名曲である赤い鳥の「翼をください」に始まり、ユーミンの「守ってあげたい」、山下達郎「クリスマスイブ」、ZARD「負けないで」、森山直太朗「さくら(独唱)」、大塚愛「さくらんぼ」など、カノン進行もしくはそれに類似するコード進行を使ったおびただしい数のヒット曲があります。日本人が好む洋楽にもこの形式は多く、ビートルズの「レット・イット・ビー」やプロコル・ハルムの「青い影」などが有名です。
これは筆者の推測に過ぎませんが、山下達郎さんの「クリスマスイブ」の間奏には「パッヘルベルのカノン」そのものが挿入されていますから、これがJ-POPでカノン進行が多用されるきっかけになったのではないかと思っています。
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