若者が留学しないのは「内向き志向」だけが理由ではない_img0
 

外国に留学する日本人が大幅に減少しています。最大の理由は少子化なのですが、日本が貧しくなっており留学費用を捻出できないことや、若者の内向き志向なども関係しているといわれます。

今はネット社会ですから、学校で教えているようなレベルの話であれば、家に居ながらにして、ほぼすべてを自力で学ぶこともできます。このような時代において、海外留学はどう位置付ければよいのでしょうか。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人で海外に留学している人の数(2016年時点)は、約5万6000人で、ピークだった2004年の8万3000人から大きく減少しています。12年間で32%の減少ですから、かなりのハイペースといってよいでしょう。

この数字は、留学した人の割合ではなく絶対数ですから、同じ割合の若者が留学すると仮定した場合、若者の人口が減ればその分だけ留学生も減ることになります。

2004年から2016年にかけて日本の総人口はほぼ横ばいでしたが、少子化が進んでいるので、若者の人口は大幅に減っています。2004年における20代の人口は約1650万人。これに対して2016年は1250万人になっていますから、約24%減少した計算です。留学者数が減った最大の理由は若者の人口減少といってよいでしょう。

しかしながら、留学者数の減少ペースは、若者の人口減少ペースを上回っていますから、これ以外にも要因があるのは確かです。一般的に指摘されている、経済的に余裕がない人が増えた、あるいは内向き志向が高まっているという話も本当でしょう。

そもそも日本人は学習に積極的ではないという調査結果もあります。

リクルートワークス研究所が社会人に対して行った調査によると、学生時代に授業やテスト対策以外で、関心を持ったことについて自ら学習したという人は12.6%で、残りはまったく学習していないか、テスト対策のみの学習だったと回答しています。勉強というのはテスト対策で行うものという認識が非常に強いという状況を考えると、わざわざ外国の教育機関で学ぼうという人が少ないのもうなずけます。

これに加えて、ネットというインフラが発達してきたことで、学校で何かを勉強することの重要性が低下しているのも事実といってよいでしょう。

 
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