ファッションのことだったらスタイリストさんに着こなしのコツを聞きたい。お金まわりのことだって、また同じ。というわけで、金融機関で働いている「お金のプロ」の女性たちに、「プライベートではお金とどう付き合っているの?」とインタビュー。ファイナンシャルプランナー・コラムニストの西山美紀さんと、編集部員の片岡(お金の初心者)が赤裸々に聞いてみました。

<今回お話を伺ったのは……>

【お金のプロの貯め方・増やし方】41歳・共働き子供1人の場合_img0

中塚カナさん(仮名・41歳)
仕事:投資信託を扱う金融機関勤務
家族構成:夫(50代)・子ども1人(小2女子)
本人の年収:約1000万円
お金の状況:資産のうち6割が投資信託、残りの4割が普通預金と貯蓄タイプの保険


働き始めてから10年は普通預金だけ
 

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西山
カナさんは、投資信託を扱う金融機関に勤めていらっしゃるんですよね。昔から投資に興味があったのですか?

※投資信託とは、プロが個人からお金を集め、株や債券などさまざまなものに分散投資するもの。(西山)

 

カナさん
いえ、まったく。10数年前に今の会社に転職してきたのですが、前職時代は、持っている銀行口座は一つで普通預金だけ。そこにお給料を入れっぱなしで……。

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片岡
わ、最初からすごい親近感(笑)!

 

カナさん
私の母は若い頃から株や投資信託を持っていたようですが、私は興味も知識もなくて。他業種からの転職だったので、投資信託の勉強をするのに必死で、普通預金のまま。1年ほどたって、ようやく初めて買ってみたんです。

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西山
どんな投信(投資信託=「投信」「ファンド」ということも多い)でしたか?

 

カナさん
確か、外国の債券に投資するものだったと思うのですが……当時人気だったものを2本、100万円ずつボン!ってまとめて買いました。2007年のころです。

※債券とは、いわば借用証書のようなもので、国や地方自治体、企業などが、利子をつけて返すと約束したうえで、個人からお金を借りるもの。(西山)

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西山
ボン!と200万円で買って、時期は2007年!! 翌年にはリーマンショック(世界的に株価が大きく下落して大騒動)が控えていますね……。

 

カナさん
はい、リーマンショックで、ものすご~く減りました(苦笑)。半分くらいになったかなあ……。普通はそこで落ち込むのでしょうけれど、私はやけになって「これは下がっているから、きっと買い時だ!」と、買い増ししてしまいました。

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西山
社内の雰囲気はどうでした?

 

カナさん
お客様の資産が大きく下落していましたので、状況をご説明する資料づくりやセミナー開催など、アフターフォローに奔走しました。

私はリーマンショックがあった年にマンションを買って結婚したのですが、リーマンショックで手持ちの投信は値下がりしているし、ついでに投信も買い増ししちゃっているし、手元に現金がなくて困りました。計画性ゼロですよね(笑)。

それで、こんなんじゃダメだ!と、お給料の一部から、毎月コツコツと積み立てをすることにしたんです。

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西山
今は、月100円や1000円と小さいお金で投信積み立てができますけど、当時は1万円からが一般的でしたね。

 

カナさん
はい、2、3種類の投信を買い始めました。海外や日本の株、債券、リートなどに分散投資する、バランス型のインデックスファンドを中心に、月に合計7、8万円くらいかな。
 

※リートとはREIT(不動産投資信託)のこと。投資家から集めたお金で不動産に投資し、賃料収入などを分配金という形で投資家に戻す投資信託の一つ。(西山)

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西山
持っている資産が大きく下がると、「投資は嫌だ、怖い」とやめてしまう人もいるけど、カナさんはむしろ続けたんですね。

 

カナさん
はい。すぐに使う予定のあるお金ではなかったので、老後のためと思いコツコツと。

ネット証券が使いやすくなってきていたので、SBI証券の口座を開いて手持ちの投資信託も移してまとめました。SBI証券は、投資信託の取り扱い本数が多いし、買うときの手数料も安いので。

※ネット証券とは、店舗がない証券会社で、申し込みや株などの売買等、すべてネット(申し込みは郵送の場合も)で行う。(西山)

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片岡
あの、すみません。「インデックス」とか、言葉がよくわからなくて。教えていただけますか?

【お金のプロの貯め方・増やし方】41歳・共働き子供1人の場合_img1
 
 

カナさん
投資信託は大きく分けると2つ、アクティブファンドとパッシブ(インデックス)ファンドがあるんです。
アクティブファンドとは、目標とする指数を上回る運用成績を目指して運用するものです。ファンドマネージャーと呼ばれる運用担当者が、決まったルールのなかで投資する株や債券の銘柄を選び、売買しながら、運用成果をあげていきます。
一方インデックスファンドは、日経平均株価指数やNYダウなど、目標とする指数に連動した運用成果を目指します。分かりやすいこと、運用コストが安いことが魅力です。

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片岡
そうかあ、初心者の人にはインデックスがよさそう。アクティブは人が介在するから手数料が高くなるのか……。

 

カナさん
インデックスファンドにも各社からいろいろなシリーズが出ていて、選ぶのはなかなか大変なのですが、私は2年ほど前から、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」というシリーズに乗り換えました。“業界最低水準の運用コストを目指す”というのがキャッチフレーズだそうで、実際に他の会社から同じ指数に連動する運用コストの安いファンドが出たら、それよりも下げてくれるんです。

このシリーズで、先進国株と新興国株、TOPIX(東証株価指数)に連動するファンドを積み立てています。あとは、NISA制度を活用してアクティブファンドを買っています。

※先進国株とは、アメリカやイギリスなどの先進国のさまざまな株(例えばアップルやマイクロソフトなど)のこと。新興国株とは、中国やインド、ブラジルなど新興国のさまざまな株のこと。TOPIX(東証株価指数)とは、東証第一部に上場する株全部を対象にした指数のことで、日本経済の動向を見るバロメーターにも使われることも。
ちなみに、その投資信託がどんなものに投資するかは、投資信託のレポートを見ると書いてあります。(西山)


※NISA制度とは、少額投資非課税税度のこと。この制度を利用すると、1人年間120万円まで(最長5年間まで)、投資で得た利益に約20%の税金がかかりません(この親戚のような制度に、つみたてNISAがあります)。(西山)

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西山
私も「スリム」、積み立てで買っていますよ。信託報酬(持っている間ずっとかかる手数料)が0.1%台など、本当に安くて。

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片岡
みんな買っているなんて! どこで買えるんですか?

 

カナさん
ネット証券で買えますよ。SBI証券にもありました。スマホでも手続きができるので、すごく便利です。

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