深圳、北京に続き世界3店舗目、日本初となる「MUJI HOTEL GINZA」が明日4月4日にグランドオープンします。そして、同時にダイナー、レストラン、ギャラリーが併設されたサロン、そして、さまざまな体験型スペースを内包した無印良品の売り場からなる「無印良品 銀座」もオープン。
駆け足で内覧会をまわりました。そこで、感じたことを私なりに。
とにもかくにも、まず思ったのは、「これからの時代は、こういう方向に向かうんだろうな」という空気感を思いっきり体感できる店舗設計であるということ。「平成の当たり前」が大量消費であったなら、「令和の当たり前」は、自分で価値を実感できて納得できるものを、自分に必要な分だけ持つ。そんなことをヒシヒシと感じました。
令和スタンダード。私が無印良品 銀座で大きく感じた時代の潮流をザックリとお伝えするなら以下の4つです。
令和スタンダード1.安全性、透明性
とにかく「食」に対して、思いっきり力を入れているのが分かる店舗構成でした。通りから見える1階を食料品(それも、ほぼ青果)で構成。銀座の中に突如、スーパー、いや海外で言うところのマルシェができたかのような印象です。売り場では、野菜や果物などに対して、テイスティング・アドバイザーの方が、「本当の旬」や「商品の理由」「生産のストーリー」を伝えてくれるのだそうです。産地見学や収穫体験のツアーも企画する予定も! 「良い食とは何か?」ということを、気軽に楽しく日常の中に自然に取り込めるように工夫された店舗なのだと思います。
個人的には、昨日の熊倉さんの記事のように、グローバルスタンダードとはかけ離れてきている日本の食のあり方には危機感を抱いています。少し前にタイ政府がトランス脂肪酸を含んだ加工食品の輸入を規制する方針を発表。日本製品がどんどんと街から消え始めている情報を聞きました。たとえば、トランス脂肪酸に対する規制のあり方を確認することで、それぞれの国の食への問題意識がある程度はわかるかと思います。
そして、これからは、食だけでなく、衣食住すべてにおいて、安全性や透明性を消費者が求めるようになり、企業もそれに応えるように、その情報をシェアすることが当たり前の時代に。つまり、それらは商品価値を伝えるアピールポイントではなく、義務化されていく(もしくは、開示されないものは淘汰されていく)のではないでしょうか。
<参考記事>
トランス脂肪酸に関する各国・地域の取組(農林水産省HP)
私たちが食べているもの、それがいかに環境を滅ぼしているか知っていますか?(ミモレ連載art of happiness)
令和スタンダード2.購入は「お試し」ありき!?
基本的にはMUJI HOTELで使われている家具、リネン、食器、家電、トイレタリーなどは無印良品のものが使われています(一部、ホテルオリジナルあり)。1晩を過ごし気に入ったものを、直接店舗で、もちろんインターネットで購入することができます(部屋にあるタブレット端末から、簡単にお買い物できるシステムは構築中で、近々サービスは開始されるとのこと)。
今後、「Less is more(≒少ないことは、豊かなことだ)」ムードは加速する予感がしますので、「不必要なものは買いたくない」と今まで以上に商品に慎重になる消費者が増えてくるはず。それゆえに、自分にとって必要な物かどうかを、単に想像するだけではなく、きちんと体感し、納得してから買うことができる仕組みづくりが大切になってくるのだと思います。それが、「住」の分野でなしえることができることは、やっぱり偉大なことですね。
また、無印良品は先んじてホテルをオープンしていた中国で評価が高かったバスタブの商品化を検討しているとのこと。デジタルで解析された定量データではなく、ファンの熱量の高い定性データの素晴らしさ、ですね。ファンにサービスを提供しながらも同時に商品開発のためのマーケティングができる。まさに、「無駄なく必要なものだけをつくる」という時代のムードに合致していると思います。
そして、気に入ったものをその場で買って持ち帰るのではなく、家で受け取れるショールーミング・システムは今後どんどん増えていくと思います。
<関連記事>
これからショッピングはどう変わる?(今日のツレヅレより)
- 1
- 2
Comment