写真:AP/アフロ

社会の隅々までIT(情報技術)が浸透してきたことで、わたしたちの生活は大きく変わりつつあります。見た目には大きな変化がないように思えますが、表層的な動きに騙されてはいけません。水面下では、私たちの価値観を大きく変えるような劇的な変化が進行中です。令和の時代にはこうした変化が一気に顕在化してくるでしょう。

もっとも大きな変化は、お金が持つ根本的な意味です。

これまでの社会では、まとまったお金(資本)には、重要な役割がありました。工場を作る場合にも、家を建てる場合にも、お店をスタートする場合にも、多額の資金が必要となります。こうした事業に対してまとまったお金を提供する人(つまり資本家)が強い立場だったのはそのためです。

例えば銀行は、個人から広く薄く預金を集めて、まとまったお金にし、これを企業に貸し付けることで利益を得ていました。何をするにもお金が必要でしたから、金融機関は世の中になくてはならない存在だったのです。

しかし、高度にIT化された社会はこうした状況を変えつつあります。

ウーバーやAirbnb、メルカリなどが代表的ですが、シェアリング・エコノミーが急激に社会に浸透したことで、お金が持つ意味が大きく変わってきました。
エアビーはすでに存在している建物をホテルとして利用するだけですから、新しく建物を建てるわけではありません。ウーバーに代表されるライドシェアは日本では法律で規制されていますが、諸外国では一般的なクルマの持ち主が、一時的にタクシーになるだけですから、すでにあるクルマを再利用しているに過ぎません。

メルカリも同じです。中古品の売買が活発になれば、すでに存在しているものを再利用するだけなので、製品を大量生産しなくても、社会で必要とされるモノの大半が揃うことになります。つまり従来と同じレベルの生活を送るために必要な新品の量が大きく減るのです。

大量に新品を製造しなくてもよいとなると、工場などへの設備投資も減少するでしょう。つまり、まとまったお金に対するニーズが従来よりも小さくなっているのです。

 
  • 1
  • 2