善か悪か、白か黒か、右か左か……本来答えがないはずの問いでさえも、ハッキリ答えのあるものとして伝播していく。「わかりやすさ」は、人に伝えるのも楽ですし、受け手側も容易に理解ができるためです。だから共有しやすい。

日本人は、とかく空気を読む能力が高いと言われています。もちろんその共感力は美徳として語られることが多い。でも、その読んでいるはずの空気は、ただ「その分かりやすさゆえ」に生まれたということは大いにありえます。それだけでマジョリティを獲得し、それが「空気」を醸成してしま
うという……

左から、『ダルちゃん:1』はるな 檸檬 『凪のお暇 1』コナリミサト。

若い頃と比べ、最近はめっきりと漫画を読む量は減ってしまいましたが、それでも自分のアンテナにひっかかったものはチェックするようにしています(近所のヴィレッジヴァンガードのポップやスタッフの方との立ち話が主な情報源です笑)。今回紹介する2作品は、まわりとの調和を最優先に生きてきた主人公が「私が私になっていく」プロセスがとても丁寧に描かれています。

今回紹介する作品は、空気を読みすぎて疲れていると感じている方に是非読んで欲しい2冊です。

web花椿に連載されていたものが全2巻に! 普通の人に「擬態」しても、生きづらい。 ダルダル星人の姿を隠して、一生懸命に生きる24歳女性の成長物語。「私を幸せにできるのは私だけ」という、どストレートなメッセージが心に響きまくります。試し読みはコチラ
こちらは7月から黒木華さん主演でドラマ化が決定(キャスティングは原作ファンからも「期待しかない!」との声多数)。いろいろな漫画大賞を受賞していたので読んでみたら見事にハマッてしまいました。空気を読むのに必死だった凪(28歳)が意を決して会社を辞職。「お暇(いとま)」をとり、人生リセットを試みる物語。試し読みはコチラ


「他人軸」から「自分軸」へ!

この2作品にはミモレが伝えたいメッセージが詰まっております。時に、他人と同じような生き方や考え方を共有していない自分に取り残されたような気分になったり、焦ったりすることもあるかもしれません。

でも、空気がつくる「今日の正解」が「明日も正解」である保証なんて、どこにもないと思うのです。

空気の中から生まれた「白」か「黒」に、自分のグレーな気持ちを寄り添わせすぎて、なんだか自分が自分でないような感覚に陥っていないかどうか。今の自分は心地よく感じているのか、そして未来の自分は喜んでくれるのかどうか。いちいち考えるのは面倒くさいことでもありますが、空気という、ある意味とても無責任な存在を前に、思考停止せず、ことあるごとに考えていければいいな、と思っています。

 

今日のお品書き
昨日公開した加谷さんの記事、お読みいただきましたか?  中間管理職の身として(こう見えても、会社組織上、そうなんですよ笑)、本当に耳が痛かった! 私たちのキャリアは今後どこへ向かっていくのだろう? 今度、中間管理職の寄り合いを緊急招集したくなりました。