誰だって傷つくのはこわい。
相手の心のピースを集めて、集めて
……やっと確かめられる

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最新刊8巻の最終ページ。さんざん「添い寝」も「キス」もして……ようやく!ようやく! 本行に気持ちを確かめる亜希。

編集部:「本行は私のこと 別に好きではないんだよね…!?」と初めて口にした亜希。最新刊の続きが気になりすぎます! 本行の答えはどうなの? どうなの?と。

石田先生:たいていの人は確実性のあるピースを集めてから、確認しようとする。ほんとに8割か9割か、そこまで集めてから聞くんですよ。それは男性も女性も変わらない。ピースの集め合い。だから、現実は、男女のどちらかが暗黙のGOサインを出さないと事態は動かないですよね。

編集部:本行の場合は、表情もわかりづらいし、言葉数も会話も少ないから、ピースを集められない!

石田先生:そうなんです(笑)。本行に関して、亜希はもちろん、読者さんからも良くも悪くも解釈できないピースをそろえました。

編集部:なるほど。だから、読者は亜希と同じようにヤキモキしちゃう。逆に、同じように亜希に執着していく長谷は、どこでどうピースが増えていくか手に取るようにわかりやすくて。当て馬キタ~♡って感じですね。

石田先生:ふふふ。まぁ、現実の恋愛シーンでは本行パターンですよね。相手の言動の真意がわからなくて、こっちが勝手に受け取って勝手にいろいろ想像しているというパターン。何度も何度も確認してみないとわからない。

編集部:体当たりに聞いてみるのがいちばんですか?

石田先生:もちろん、サイン待ちをやめてGOできたら手っ取り早くはありますが、なかなかできないでしょうね。相手に引かれるんじゃないか、とかも思っちゃうし、聞き方も難しいですね。自分がGOサインを出しても、むこうがそれをちゃんと正しく受け取ってくれるかどうかもわからない。手順がどんどん増えていく。むこうが出したGOサインにしても、結局GOかどうかわからないですからね。

編集部:LINEの既読スルーについて本がでるくらいの世の中ですし。このスタンプはなんなのか…!とか一晩考える女性も続出しているらしいです。

石田先生:LINEはさらに難しいですね。対面しているとある程度は相手の気持ちやテンションが読み取れますけど、文章から読み取るのは、私はムリだなぁ。考察は考察であって、確証には至りませんから。
 

生身の美男美女が演じるドラマから
石田先生が教えられたこと


編集部:ドラマをご覧になられていかがですか?

石田先生:本行、エロイ!と思いました(笑)。本行役の中尾暢樹さん、本来は正統派のイケメン俳優さんですよね。本当に生身の俳優さんに演じていただくと、いい意味で破壊力がすごいです。あと、「あざといは正義」だとドラマで教わりましたよ。
例えば、本行のあの甘い口調とか。いやもう、あれを通常の人間がどこまで再現できるかはおいといて。でも、女の子でも、あざとくて可愛いって思わせる子もいますもんね。あざとさを選択した心持ちまで可愛くなるというのかな。

編集部:わかります! 自分のキュートさを自覚している女の子に可愛くねだられたら、キャンディあげちゃいます。私にアピールされたっていう心持ちに答えたい。

石田先生:あざといはひとつのアピールかもしれない。
 

同じ人を好きになってしまった。
女友だちに対する罪悪感のアリやナシや

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寺田さんと対極の性格の持ち主で、同じシェアハウスに暮らすあかり。目的意識もはっきりとしており、本行を好きな気持ちを公言している。

編集部:亜希とあかりの対比も面白いですよね。本行を好きになって添い寝までしている亜希は、本行ラブを公言しているあかりに、罪悪感を抱いていて。このあたり、女子同士の“あるある”なんですが。悩んだ末についにあかりに謝るシーンがある。でも、あかりは、「は? 何に対してのごめんなの?」という(笑)。実にさっぱりした女性ですね。

石田先生:こういうシーンで、自分の価値観や普通と思っていることに対して、ちょっと疑問をもっていただけたらなと。もちろん、あかりみたいな思考で生きられたほうが楽になると思うんですがね。でもどっちの価値観が正しいとかおすすめ、というスタンスではないんです。誰かと相対するとき、そこにあるのはただの相性であって、正解はないですよね。

編集部:在るのはただの相性!

石田先生:そうですね。性格が真逆だからうまくいくこともあるし…。ただ、何かが「絶対そうだよね」「〇〇でしょう、普通!」と思い込むと、生きるのがしんどくなると思いますね。普通なんてない、もしくは「普通」はめちゃめちゃいっぱいある。人の数だけ普通は存在します(笑)。

編集部:ちなみに、亜希は料理も上手いし、要所要所できちんと相手に心がこもったお礼が言えたり……読んでいてフツーに可愛いなと。婚活市場でモテそうなタイプ!

石田先生:そうですね。この押せばいけそうなところがモテる(笑)。男の人も女の人も、そこは一緒かと。それを意識的に出しているのか、無意識的に出しているのかでだいぶ違ってきますけど。今の亜希は無意識ですけどね。押せばいけそう、なんとなく手が届きそうと思わせるのはモテのポイントだと思いますよ♡

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亜希のお礼の仕方はきちんと育てられたいい意味で普通のお嬢さん感がある。そして亜希のつくる美味しそうな料理の数々! シェアハウスの住人がリビングに出てきて談笑するようになっていく過程は、まさに亜希の母力。


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『カカフカカ』

著者  石田 拓実 講談社

初めての相手でもある元彼とまさかのシェアハウスでの再会。そして、ふとしたはずみで「たたない」彼と不可思議なヒミツを共有することに…!? イマとカコ、ココロとカラダ、いろんなものが交錯するやっかいな大人のももいろラブストーリー!


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撮影/川端里恵 文/藤本容子
 
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