「終身雇用は制度疲労を起こしている」。先月、経団連の中西宏明会長の発言が話題になりました。

同じく先月、政府からは希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための「高年齢者雇用安定法」の改正案の骨子が発表され、こちらも話題に。
この改正案では現行法の①定年延長、②定年廃止、③契約社員での再雇用に加えて、新たに④他企業への再就職支援、⑤フリーランスで働くための資金提供、⑥起業支援、⑦NPO活動などへの資金提供も企業の努力義務に加えられることが明らかになったからです。

終身雇用制度が終えんを迎えつつあるのは誰もが自覚しはじめていたものの、経団連のトップが「終身雇用を前提にすることが限界になっている」とまで明言したことの衝撃は大きいですし、また、高齢期のキャリアに「フリーランス」や「起業」の選択肢が明示されたことも、まさに人生100年時代を象徴するできごとでした。

以前から講演などでは「20歳前後で就職したとして、70歳を定年とするなら50年は働くんですよ。約半世紀です(笑)」「誰もがフリーランスになりうる時代がやってきます」といった話をしてきたのですが、いよいよ現実のものになってきました。

そんななか、先日「フリーランスになるにあたって会社員時代に身につけておいたほうがいいことって何でしょう?」という取材を受けました。

このテーマについていろいろな場所で書いたり話したりする機会をいただいていて、おおむね以下のようなポイントを軸にお伝えしています。

1)売りになる専門性やスキル
これはもう大前提ですね。フリーランスはその人の「得意なこと(専門性やスキル)」に対してクライアントが業務を発注し、プロとして仕事を遂行するスタイルなので、売りになる専門性やスキルがあることは前提条件になります。専門性やスキル、という話をすると、「わたし、資格持ってないんですけど……」という話をされる方がいるのですが、これは必ずしも弁護士とか会計士といった資格のことを言っているわけではありません。また、デザイナーやライターのようなクリエイターとも限りません。40代女性にも多いだろう広報や人事、マーケティングや経理などのオフィスワークのお仕事でも十分フリーランスとして活躍はできますし、「家事が得意」だったら家事代行の仕事、「子どもと遊ぶのが得意」だったらベビーシッティングの仕事もできますね。

 
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