オーガズムが女性の心と身体の健康に大切な理由【産婦人科医が解説】
日々、忙しい毎日を送っている40代の女性にとって、オーガズムについて考える機会は少ないのではないでしょうか?しかし性的欲求は、精神面や肉体面において、健康をもたらすための重要なファクター。産婦人科医の大川玲子先生に、女性にとって大切にしたいオーガズムについて話を聞いてみました。
ヒステリーの特効薬は「オーガズム」?
みなさん、「ヒステリー」という言葉はご存知だと思います。以前は神経症の一症状についた名前です。現在では学術的には使いませんが、これもよく知られているパニック障害のような症状で、一次的な錯乱状態を示す病態です。
「ヒステリー」は子宮の別名でもあり、かつては男性よりも劣った存在であると考えられていた女性が、心のコントロールを失う状態という意味で使われ、さらには「子宮があるからこそ起こる発作」と考えている学者もいました。そのため、19世紀には子宮を取り除く手術も行われていたそうです。
2011年に公開された『ヒステリア』という映画は、まさしく「ヒステリー=性的欲求不満」をテーマとして描かれた興味深い作品でした。イギリス・フランス・ドイツ・ルクセンブルグ合作の作品で、「電動バイブレーター」の開発がテーマのロマンティック・コメディです。舞台は19世紀末のロンドン。実在した医師モーティマーの実話が元ネタになっています。
当時、ヒステリーは精神病だと言われていましたが、その一方で、本当の意味での生理的欲求という一面もありました。モーティマー医師のもとへやってきた女性たちは「何だかモヤモヤしていてつらい」「頭が痛い」といったさまざまな症状を訴えます。
すると、モーティマー医師は、女性を診察台に寝かせ「独自のマッサージ療法」を行います。そのマッサージこそが、クリトリスを触ってオーガズムを起こしてあげることでした。女性患者は一時的に心身の高揚を体験し、スッキリして治療終了となります。
つまり、マスターベーションでヒステリーが治ってしまった、というお話です。この治療は彼のオリジナルではなかったのですが、とても技術に優れ、患者が殺到したため腱鞘炎になってしまったことから、代替手段として考案、発明されたのがバイブレーターでした。
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