「女なのに化粧をしないの?」とか「女なのに料理できないの?」とか「女ならセクハラくらい笑って受け流せないと」とか言われ続け、妙にモヤモヤしながら生きてきた私たち。発売中の『女に生まれてモヤってる!』は、脳科学者の中野信子さんと、コラムニスのジェーン・スーさんのお二人が、そんなモヤモヤの根源と、傾向と対策を語りつくす対談本です。今回はその共著者である中野信子さんにインタビュー。研究者、科学者としての華やかな経歴を持つ中野さん、そんな彼女が経験してきたモヤモヤとは?
女の子は勉強ができてもあまり喜ばれない
「本当に小さいころから、母や祖母からは“そんなに勉強が出来ると結婚できない”“男だったらよかったのにね”と言われながら育ったので、そのまま受け取っていましたよ。“女性が勉強できても、まわりはあんまり喜ばないんだな”って」
正直言うと、本の中で論じられるような内面化や女性差別って、中野さんのような学歴や経歴を持つ女性には無縁のものかと思っていました――インタビュー冒頭でそう告白すると、中野さんは「とんでもない」という感じで答えます。
「母なりに、娘には“幸せ”になってもらいたいと思っていたのでしょうが、それは図らずも社会通念を反映した言葉だったんですよね。学校でも先生はやっぱり“お嫁さんにぴったり”みたいな子をかわいがるし、中学では職員室に呼び出されて“みんなと話が通じてないから、友達も少ないだろ。もっとテレビを見たほうがいい”なんて言われたこともあります。勉強ができても、常に言われるのは“女の子なのに勉強ができる”、その“なのに”っていうのは何なのって。そうこうするうちに生理も始まり、私は特に生理痛が重かったのもあり、“なんで女だけがこんなイヤな目に合うんだろう”と。不平等だ、男になりたいって思っていました」
ホッとしたのは東京大学に入学したころ。興味のあることを話しても周囲にポカーンとされた中高時代とは異なり、自分がそれほど変ではないと思え「この大学を選んでよかった」と思えたのだそうですが――3年生になり研究室に入ると、今度はこれまでとは逆方向の差別が始まります。
「多くの男性教授は――多分今でもそうだと思いますが――やっぱり“女は男より頭が悪い”と思ってるんですよね」
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