近年、人口減少にともなって郊外から都市の中心部に転居する人が増えており、郊外の物件を売却して、都市部の物件を買う動きが顕著です。こうした人たちは、自身の将来計画に基づいて判断しているので、多少、物件価格が高くても購入を決めてしまいます。このような実需買いは今後も続く可能性が高く、それによって相応の価格が維持されると見る関係者が多いようです。

消費増税に五輪特需消滅…新築マンション、本当の「買い時」は_img0
 
 

今後もマンション価格は下がらないということですから、今がマンションの買い時なのでしょうか。この点については、時期ではなく場所がすべてを左右すると筆者は考えています。

郊外から中心部への移動が激しくなっているのだとすると、マンション価格は一律に推移するのではなく、中心部と郊外の物件価格差がさらに拡大する可能性が高いと考えられます。つまり中心部の物件は今後も価格が上昇し、逆に郊外の物件はまだまだ価格が下がることが十分にあり得るわけです。

冒頭で紹介した晴海のマンションは、現時点では最寄り駅から距離があり、公共交通機関の使いやすさという点では少々微妙なところがあります。こうしたことから、当初は、あまり人気が集まらず、売り出し価格も低く推移するのではないかとの予測もありましたが、現実はまったく逆でした。

都心に隣接したエリアでこれだけ大量の物件が一度に放出されるというのは、おそらくこれが最後との予測もあり、人気が殺到しました。職住接近を望む人にとっては、何としても手に入れたい物件だったようです。

もし中心部の物件を購入するつもりなら、今、購入を決断するというのもひとつの考え方なのではないかと思います。逆に郊外の物件を検討しているのであれば、様子を見た方がよいでしょう。

郊外物件の場合、同時期に同じ年齢層の世帯が大量入居しますから、将来、子どもの独立などによって、そのエリアの活気がなくなるリスクは高まります。物件を選択する場合には、将来的な人口動態について、慎重に検討する必要があります。

神戸市のように郊外への移住を促すため、中心部のタマワン規制に乗り出す自治体も出てきました。しかしこうした規制は、かえって中心部の希少価値を高め、物件価格を高騰させる可能性もあります。

一昔前であれば、自分の気に入った物件を買えばよかったのですが、今後はそうはいきません。たとえ自己居住用の物件であっても、不動産投資の視点を持ち、「売却しやすいのか」「賃貸需要があるのか」「間取りに変なクセはないか」といった部分で物件を評価する必要があるでしょう。

前回記事「不登校YouTuberゆたぼんから、日本の学校教育を考える」はこちら>>

 
  • 1
  • 2