夏休みの宿題で、手書きによる筆算の横線を定規で引かなかったとして、教師から160問の書き直しを命じられたという話がネットで話題となっています。

 

福岡県内の小学校に通う5年生の児童が、夏休みの宿題を担任に提出したところ、筆算で記入する横線について定規を使っていないとして、160問についてすべて書き直しを命じられたそうです。しかも担任は児童の家に直接電話をかけ、保護者に対して書き直させるよう求めたということです。

定規を使わせる理由というのは「計算ミスが減る」「みんなにやらせているから」ということだそうですから、本質的なものではなく、教師が「定規を使え」と言ったにもかかわらず定規を使わなかったため、再提出を命じられたと解釈せざるを得ないでしょう。

教師の中には、定規で線を引く練習をさせた方がよいといった理由から、筆算で定規を使わせる人もいるようです。もしそうであれば、定規を使わなかった生徒に対しては「定規を使っても使わなくても結果は同じだけど、先生は定規で線を引く練習という意味も込めて定規を使いなさいと言ったんだよ。だから、バツにはしないけど、次からは定規を使って書いて来なさいね」と指導すればよい話です。

しかしながら、教師に余裕がなくなっているという指摘も多く、学校において、きめ細かい指導を期待するのはもはや困難というのが実状のようです。

実は最近、教育現場において、4×5=20について5×4=20と書くとバツになる、4.1+3.9=8.0と書くと減点される、「時間が経つと影の向きが変わるのはなぜか」という問いに対して、「地球が自転しているから」と回答するとバツになる(正解は「太陽が動くから」)といった、にわかには信じがたい話が続出しています。

これら意味不明な指導に共通しているのは、教師が言った通りに書かないとバツにするという、少々恐ろしい価値観です。

数学の世界には、「自然数の積算は数字を入れ換えても結果が変わらない」という「交換法則」が存在しており、掛け算は順序を入れ換えても必ず同じ結果が得られます。もっとも、線形代数の世界になると行列の積算は交換法則を満たさないなど、高度な数学では様々なモノの見方ができるようになります。
しかしながら、一般常識として、掛け算を逆にしても結果が同じであることは、ほぼ絶対的な真理ですから、掛け算を反対に書くとバツにするというのは、非常識と言わざるを得ません。

 
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