「お金持ちは、お金についてどんなふうに考えているの?どうつきあっているの?」というミモレ編集部の疑問から生まれたインタビュー企画。マネー業界のトップの方々に「お金持ちのお金の価値観」についてじっくり伺っていきます。
今回ご登場いただくのは、ファイナンシャルアカデミーグループ代表の泉正人さん。「お金の教養」を学べるスクール運営を行っている泉さんに、マネーコラムニストの西山美紀と編集部員の片岡が話を伺いました。

 

<今回お話を伺ったのは……>

 

泉正人さん
ファイナンシャルアカデミーグループ代表。一般社団法人金融学習協会理事長。2002年にファイナンシャルアカデミーを創立し、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えている。著書に『お金の教養』(大和書房)、『お金原論』(東洋経済新報社)他多数。

 

――少し前までは、「投資は男性がするもの」といったイメージがありました。

泉正人さん(以下敬称略):そうですよね。投資をして、お金を増やしたと話す女性は、以前は少なかったと思います。

――お金の話を積極的にして、「あの人、お金が好きなんだ」と思われても困りますし……(笑)。

泉:僕は仕事柄というのもあって全然気にせず、お金について普通にみんなに聞いています(笑)。これからはどんどん、お金について気軽に話せる世の中になったらいいですよね。
実際にここ最近、「お金の学校」に学びにくる女性の方がどんどん増えているんですよ。

10年くらい前までは、男女比が8:2くらい。5年くらい前は、7:3くらい。それが最近は、男女半々くらいです。若い方もどんどん増えて、昔は40歳くらいでしたが、今は30歳くらいの方がちょうど中間です。

――投資などお金について学ぶ若い女性が増えているのは、どんな理由でしょうか。

泉:少し前に流行した「ステマ(ステルスマーケティング=宣伝だとわからないように、宣伝を行うこと)」の影響も大きいと感じます。つまり、中立的に「これがいいよ」と発信するのではなく、企業からお金をもらっていることを隠しながら「これいいよ」と発信する人がいて、何を信じたらいいのか、何が正しい情報なのかがわかりにくくなってしまった。

情報リテラシーが高い人は、「自分で勉強しなきゃ」と気づき、勉強をし始めたのだと思います。

――情報リテラシーが低いと、間違った行動に出てしまいますよね。

泉:はい、情報リテラシーが低い人は、自分で何も考えることなく、金融機関に行って「私、これだけ貯金があるのですが何を買えばいいですか?」と相談してしまう。悪い言い方をすれば「カモ」ですよね。テレビショッピングを見てつられてしまい、欲しくもない商品をすぐに買ってしまう行動にも近い。「おすすめですよ」という言葉に弱い人です。

お金についても、今はいろいろな人が情報発信をしているので、何が正しいかがわかりにくくなっている。なかには「ステマ」があるかもしれない。

たくさんの情報に触れられる時代だからこそ、自分の判断力が重要です。

――あとはまだまだ親から言われたことや親のお金に対する価値観に影響されている人も多いですよね。

泉:その通りです。親御さんからのアドバイスが間違っていることもあります。「お金なんて、銀行に貯金しておけばいいのよ。投資は失敗するからやめなさい」と言われている方も多いのではないでしょうか?

金融機関も、何か商品を売るためにセミナーをしているかもしれないし、女性限定無料セミナーとうたって、スイーツを食べながら実は保険を後から売る目的という場合もある。

――そう思うと、「無料」などの言葉につられず、自分でしっかり勉強していく必要がありますね。

 
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