突然ですが皆さん、上の写真で二階堂ふみさんの隣に座っているピンク色のキグルミ、何に見えますか。Eテレの新キャラ? ウルトラ怪獣??
正解は、「生理ちゃん」です。はい、月経の「生理」なんです!!!

 

実はいま、『生理ちゃん』という映画が公開されています。生理が擬人化されて目に見える存在として登場するという驚きの設定の本作は、Web漫画が原作(コミックス版はKADOKAWAから発売中)。しかも作者は男性の小山健さん。いろいろと新時代に入っているな、という感じがします。

物語は、ファッション誌編集者の青子(二階堂ふみ)、かつて「ブス」と言われた呪いから恋愛を諦めているフリーターのりほ(伊藤沙莉)、青子の妹で受験生のひかるという3人が、生理中にたまたま、人生の大切な瞬間を迎えるさまが描かれています。
原作もですが、「生理ちゃん」といえど、結局は女性の人間ドラマ。というか、女の人生とそれは切っても切れないわけで、生理の日にテストが重なったり、仕事で詰められているときに生理がきたり、デート中に生理になることもある。
また印象的だったのが、青子が職場の同僚と生理の辛さをトイレでわかちあっていた次の瞬間、「でも私は、生理を言い訳にしたくないの」と同僚がピシャリと言い放つシーン。
女同士ですら生理への心持ちは違うし、なんなら生理中の症状も一人ひとり、というか月によっても違う。
互いの「生理ちゃん」を理解し合うのは、そう簡単ではないーー。女同士の牽制により、会社に生理休暇制度があっても使えないという話も聞いたことがあったので、余計にグッときてしまいました。

そんな女と生理との関係性が絶妙に表現されていたので、嬉しくなって鼻息荒くフンフンとパンフレットをながめていると、なんと映画の監督と脚本も男性であることが発覚。

「座学的に生理を学ぼうとしたんですけどイマイチ掴みきれなくて、苦労していました。でもあるとき知人の女性から、『そんな腫れ物みたいに扱われても……爆弾じゃないんだし』と言われてハッとして。
女の人はもうちょっと生理に対してフラットというか、寄り添って生きているのかなってそのとき思ったんです。それからは、女性が“生理と一緒に生きている”という感覚を大事にしようと思いました」(品田俊介さん/監督)

「一番驚いたのは、こんなにも人によって違うのかってこと。腹痛の強弱くらいの違いかと思ってたら、聞けば聞くほど、みんないろんな生理を経験していることがわかったんです」(赤松新さん/脚本)

生理を映画化した際の苦労や驚きについて品田俊介監督と脚本家の赤松新さんにお話をお聞きすると、こんな答えが返ってきたのでした。

一方で興味深かったのが、「作品への批判があまりない」という話でした。

「『ほっこりした』っていう感想をもらうことが今のところ一番多くて。それはそれでめちゃくちゃありがたいんですけど、バッシングももっとあっていいんじゃないかなって思ってるんです。
あえて今回は深いメッセージを込めるのではなく、“入口”を作ることに徹したのもあるかと思いますが、だからこそ、その先の議論は観客の方に委ねたい」(品田監督)

たしかに「生理ちゃん」はキャラとしてかわいいし、映画もおもしろい。それだけで生理というものへの間口は広がっただろうし、敷居も下がったと思う。
でもだからこそ、端緒ができたいま、その先の行動や発言は、我々女性自身が積極的にやっていく必要があるのではないでしょうか。

 
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