困っている人をみかけたら、手助けできますか?
街中で困っている人を見かけたとき、手助けしてあげたいのに声をかける勇気がでなかった……という経験、誰もが一度はあるのでは?
外出先で困った事態になったとき、周りの人が気軽に助けてくれたら、心底ほっとするに違いないし、誰かが困っているときに、サッと手助けしてあげられたら、自分でも嬉しいですよね。
世の中には、そんなふうに考えている人がけっこういるようです。
今年7月には、「May ii(メイアイ)」という、助けてほしい人と助けたい人を結びつける、スマートフォンむけのマッチングアプリが、大日本印刷からリリースされました。
発表時の報道によると、「May ii(メイアイ)」の開発では、LINEを試用した「&HAND(アンドハンド)」という助け合いをマッチングするサービスで実証実験を行ったそうです。
そしてこの「&HAND(アンドハンド)」には、15万人ものユーザーが登録したのだとか!
殺伐としたニュースが多い昨今ですが、こんなにも「助け合いたい」と思っている人がいるという事に、まだまだ世の中捨てたもんじゃないなぁと嬉しくなるし、自分も積極的に手助けしたい、と思えてきますよね。
しかし、「手助けしたい」と思ってはいても、いざ勇気を出して行動にうつすのは難しい。それって、どうしてなのでしょう?
もしかしたら、その原因は「助ける」方法を知らないせいかもしれません。
ここに、実際に「困っている人たち」に取材して書かれた『「お手伝いしましょうか?」うれしかったそのひとこと』という本があります。
子ども向けの実用書ですが、私のような「困っている人の手助けをしたいけど、どうすれば良いのかわからない」大人にとっては、まさに、知りたかったことがわかる本!
主な内容は、
目の不自由な人を手伝う
車いすの人を手伝う
赤ちゃんを連れた人を手伝う
耳の不自由な人を手伝う
外国人旅行者を手伝う
お年寄りを手伝う
ヘルプマークをつけた人を手伝う
補助犬ユーザーを手伝う
の8項目です。
これだけでも、街中で手助けを必要としている人の事情は、さまざまなんだなぁ……と気づかされますが、実際に、どうやって「お手伝い」したらよいかを、ここで簡単にご紹介します。
①目の不自由な人を手伝う
目の不自由な人には、全く見えない全盲の人、文字を拡大すれば読める人、視野がせまい人、まぶしいのが苦手な人など、いろいろな症状の人がいます。
◆声のかけかた
「そこの白杖のかた、お手伝いしましょうか?」など、わかるように話しかける。「あなたの正面にいます」など、自分の位置をつたえ、そばをはなれるときは、必ず一声かける。
◆案内のしかた
「あっち」「こっち」ではわからないので「右です」「一歩前です」など具体的に伝える。方角は時計の針の向きにたとえて「9時の方向に〇〇があります」と説明するとわかりやすい。
②車椅子の人を手伝う
車いすの人は、横断歩道や段差で苦労することが多く、また、車いすに座ったままでは手が届かない場所にある設備のスイッチやお店の商品などもあります。そういったシチュエーションで手伝ってもらえると、とても助けになるそうです。
◆車いすの押しかた
「動かします」と声をかけ、ゆっくり気をつけて押す。止めるときは必ずブレーキをかけて動き出さないようにする。
◆段差や坂道では
後ろのレバーを足で踏むと、前輪がもちあがり段差を越えやすくなる。段差や坂道を降りるときは、車いすを後ろ向きにしたほうが、より安全。
③赤ちゃんをつれた人を手伝う
赤ちゃんを連れて外出するのは、荷物が多く重労働です。また、赤ちゃんはとつぜん泣きだしたりすることもありますが、温かい目で見まもってあげたいものです。
◆電車、バスの中で
ベビーカーを置いたり、固定するためのスペースがある場合は、優先してゆずる。
マタニティーマークをつけた人や、小さい子どもを連れて立っている人がいたら、「すわりますか?」と声をかける。
◆荷物を持ってあげる
近くにエレベーターのない階段や、乗り物を利用するとき、保護者がひとりでベビーカーやカバンなどの重い荷物を持って困っているようなら、「持ちましょうか?」と聞いてみる。
④耳の不自由な人を手伝う
耳が不自由な人には、全く聞こえない人、補聴器をつけていても会話が聞き取れない人、高音や低音だけが聞こえにくい人、左右のどちらかが聞こえない人など、さまざまな人がいます。
◆声のかけ方
話すときには、正面から顔をみせ、口の動きがわかるように、ひとりずつゆっくりとしゃべる。
◆筆談する
紙やペンがなくても、スマートフォンに文字を打てば筆談ができる。都営バスなど、筆談器を備え付けている公共交通機関もある。
◆緊急の時に情報を知らせる
交通機関が事故で止まっているとき、また、災害時などのアナウンスは、耳の不自由な人には聞こえないので、何が起きているか、メモに書いて伝えてあげる。
⑤外国人旅行者を手伝う
日本をおとずれる外国人旅行者は年々ふえていますが、2020年のオリンピック開催時にはさらにふえる事が予想されています。街中で困っている外国人旅行者をみかけたとき、外国語が話せなくても、できるお手伝いがあります。
◆Do you need any help?
外国人旅行者を手助けしてあげたいときは、「Do you need any help?(ドゥー ユー ニード エニー ヘルプ?:何かお手伝いすることはありますか)」と声をかける。
◆案内所の場所を教える
大きな駅には「tourist information(ツーリスト インフォメーション)」と書かれた観光案内所があるので、まずはそこに行ってもらう。外国語のパンフレットが置かれていることもある。
◆道を聞かれたら
外国語で説明できない場合は、指で地図や方向を指し示すだけでも役に立つ。
いかがでしょう。ちょっとしたポイントさえ知っていれば、「街中での手助け」に、一歩ふみだせそうな気がしませんか?
この本では、ここで紹介した以外にも、「お年寄りを手伝う」「ヘルプマークをつけた人を手伝う」「補助犬ユーザーを手伝う」などの項目があります。
また、上記のような「お手伝いのノウハウ」をはじめ、
・お手伝いをするシチュエーションを再現したショートストーリー
・当事者の事情や気持ちがわかるインタビュー
・手助けが必要な人たちのための、社会のしくみや工夫を解説したページ
などが収録されています。
ハンディキャップのある人たちに共通しているのは、「ふつうに暮らしたい」という想い。この本に収録されたインタビューを読むと、そうした当事者のみなさんの気持ちが、本当によくわかります。
12月3日は国連が定めた「国際障がい者デー」です。また日本では、この日を起点とした12月3日~9日の一週間を「障がい者週間」と定めています。
みなさんも、この機会に『「お手伝いしましょうか?」うれしかったそのひとこと』を参考にして、「ハンディキャップのある人もふつうに暮らせる社会」を、ぜひ考えてみてはいかがでしょう。
試し読みをぜひチェック!
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『「お手伝いしましょうか?」うれしかったその一言』
高橋 うらら:文、深蔵:絵
街で出会う、障害のある人やお年寄り、赤ちゃんを連れた人を手伝ってあげたいと思うことがあります。でも、どうしたらいいかわからず躊躇してしまうことが多いものです。声掛けやお手伝いの方法を知っていたら自信をもってできるのでは? 方法を学びながら、当事者の事情や気持ちにも寄り添い考える内容で、小学生向けですが、大人もいっしょに読んでほしい本です。
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