昨年11月に初の書き下ろし著書「働く女子と罪悪感 『こうあるべき』から離れたら、もっと仕事は楽しくなる」(集英社)を出版した、BUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長の浜田敬子さん。前半では、女性につきまとう“罪悪感”について、ご自身の経験も踏まえてお話いただきました。人生100年時代と言われる今、どうしたら“罪悪感”から解放され、自分らしく生きていけるのでしょうか?

(この記事は2019年1月31日に掲載されたものです)

浜田敬子 1966年、山口県生まれ。上智大学法学部国際関係法学科卒業後、朝日新聞社に入社。前橋、仙台支局を経て、週刊朝日編集部、AERA編集部へ。2006年に出産し、育児休業取得。2014年に女性初のAERA編集長に就任。2017年に退社し、BUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長に就任。ツイッター:@hamakoto

 



人生は長い。やってみて大変だったらその時に考えればいい!


「働く女子と罪悪感」という書名を見た20代の女性に、「女性が大変だったという話はもう聞きたくない」と言われてしまったという浜田さん。

「総合職は大変だから一般職を目指すという人がいれば、就活前から何歳で結婚して子どもを産んで、と逆算している人もいるほどで、20、30代の女性は、私を含めた上の世代の女性があまりにも大変すぎて、すごく怯えているのかもしれません」

浜田さんは本書を通じて、働く上で大変なことは確かにあるものの、楽しいことや面白いと思えることがそれ以上にたくさんあるということを伝えたいと考えていました。サブタイトルに「『こうあるべき』から離れたら、もっと仕事は楽しくなる」と入れたのも、その気持ちの現れから。

「やりたいことがあっても失敗したくない、傷つきたくない、と一般職を選ぶなどして予防線を張る人がいるけど、それで本当に満足感を得られるんだろうかって思うんですよ。人生長いんだし、やってみて大変だったらその時に考えればいいじゃない」

浜田さん自身、本当は挑戦してみたいことがあったのに、「そのことを声に出していうことは、私のわがままなんじゃないか」と思い、自分の中で先に限界線を引き、自分の気持ちを押し殺した経験があると振り返ります。だからこそ、だめかもしれなくても、やりたいと思えることがあったら自分から手を挙げたり、失敗してもいいから挑戦したりした方がいいと痛感しています。それに、時代は少しずつ変わってきているとも指摘します。
 

 

「昔に比べて柔軟な働き方がどんどん増えてきています。それは若い世代だけじゃなくて、40代以上の人に対しても同じことが言えます。むしろ今の40代以上の女性、あえて言うけど、“おばさん”は重宝されますから!」

浜田さんが働く編集部には、経理などの事務作業を業務委託で引き受ける40代の女性がいます。約20年間大手企業に勤務し、今はいくつかの企業と業務委託契約を交わし、掛け持ちで働いているとのこと。浜田さんはこの女性の優秀さに感動したといいます。

「今の若い人って正直なところ、気配りが苦手な人も多い。でも、40代の人は気配りができて、他の人の手が回らないところをすくい取って、職場をいい感じに回すことに長けています。本当は強みを持っているのに、気づいていない人が多いんです」

40歳を過ぎると転職は難しい、一般職だから大したスキルがない、いまさら別の会社に移るのが怖い、といった理由から、不満を抱えていても今の会社にとどまっている人は少なくありません。そんな人に対して、

「定年するまでの20年は自分が思うより長い! 自分が病む前にやめたほうがいいから!」

正社員への転職は難しくても、業務委託契約なら募集があるかもしれない。いきなり会社を辞める前に、お試しで副業をしてみることだってできる。なんだったら、転職サイトに登録してみるだけでもいい、と浜田さんは言います。

 
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