日本のSNSは諸外国と比較して、発信する人の比率が圧倒的に少なく、かつ発信者の情報量が極めて多いという特長があります。総務省の調査によると、ツイッターで積極的に情報発信する人の割合は米国は16.3%ですが、日本は9%しかいません。フェイスブックはさらに極端で、積極発信者は米国では45.7%ですが、日本はわずか5.5%です。
日本はツイッターがかなり活発な国の一つであることを考えると、日本におけるツイッター上の話題というのは、限られた人の情報によって成り立っていると考えた方がよいでしょう。
これに加えて日本の場合、他人のコンテンツを転載する割合も高く、ネット上を飛び交う情報におけるオリジナル情報の比率が低い可能性も指摘されています。
こうした状況を総合的に考えると、日本におけるネット上の反応というのは、国民全体の意見を反映していない可能性が高くなります。もしそうならば、ネット上におけるベビーカーに対する感情的で攻撃的な反応と、アンケート調査の結果に大きな乖離が生じているのもうなずける話です。
最近は少し改善されてきましたが、いじめ問題がなくならないことからも分かるように、弱い人を叩くという前近代的な風潮がいまだに残っていることも大きいでしょう。
ベビーカーを伴って乗車し罵声を浴びせられるというのは圧倒的に女性が多いのですが、一部の女性はこうした事態に対処するため、金髪にしたりサングラスをかけて乗車しています。非常に悲しいことですが、その効果は絶大で、周囲から怒鳴られたり、舌打ちされることがほぼ皆無になるそうです。
結局のところ、ベビーカーに対して暴力的な振る舞いをする人の多くは、ベビーカー利用の是非について信念を持っているわけではなく、女性と赤ちゃんという、体力的・物理的に弱い相手に対して嫌がらせをしているだけという現実がよく分かります。
わたしたちはネット上の一部の過激な言動に引きずられないよう、十分注意する必要がありますし、多くの日本人は常識的な判断力を持っていることを、もっと信じてよいのではないかと思います。
前回記事「中途採用比率の公表義務化で日本の雇用は変わるのか」はこちら>>
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