清楚な美しさを放つ女子高生は、教室で悪質ないじめに遭っていた。真面目で気弱な彼女は、ただひたすらに耐えるのみ。でも、彼女は孤独ではなかった。だって、私を守ってくれる人がいるから――。

一つに束ねた黒髪と、黒縁メガネの女子高生。片方のレンズの向こうには、爽やかなイケメン教師の姿。こんなビジュアルを、インターネット上で見かけたことはありませんか?

これは、「コミックDAYS」での連載直後から大きな話題を集め、現在ドラマ(毎日放送系)もオンエア中の学園サイコ・ラブ『ホームルーム』のヒロイン・桜井幸子です。

 

幸子の担任は、爽やかなイケメン英語教師・愛田凛太郎。女生徒から「ラブリン」の愛称で呼ばれ、抜群の人気を誇っています。ある日、ラブリンの英語の授業中に質問を振られた幸子。立ち上がろうとしたのですが、椅子からお尻が離れません。なぜなら、椅子に接着剤をベッタリと塗られていていたからです。

幸子はずっと、悪質ないじめの標的になっていました。誰がいじめているのかはわからずじまい。いつも困った表情を浮かべる幸子ですが、どこか本気の顔じゃない。むしろ、まんざらでもない様子です。なぜなら、憧れの愛田先生がいつも全力で助けてくれるから。その姿は、正義の味方そのもの。愛田先生に淡い恋心を抱いている幸子にとって、むしろ幸せなひとときだったのです。

と、ここまでなら学園の恋愛モノなのですが、この後、第1話だけで怒涛の展開を繰り広げます。というのも、愛田先生こそが幸子をいじめる張本人だということがすぐに明かされるからです。

実は幸子は母子家庭。スナックで働く母は、2年前に家を出たまま帰って来なくなります。でも、一応は幸子のことが気になるらしく、時折、必要最低限のお金を置きにきています。家庭訪問でそんな幸子の家庭事情を知った愛田先生は大号泣。「大丈夫、俺がいるから」と、幸子を守ることを誓うのです。

その誓いがとんでもない方向に行き、いじめの自作自演を行って、彼女のヒーロー役を演じ続けている時点で充分狂っているのですが、愛田先生の行動はさらにエスカレートし、予想の斜め上を攻めてきます。それはぜひ第1話の試し読みで確かめてほしいところですが、愛田先生のヤバさを際立たせているのは、なんと言ってもこの圧倒的な画力!!

まるで写真のように細かく書き込まれた背景や小物類、本当に動き出しそうなリアルな描写のキャラクターたち。ぎゅうぎゅうに濃縮されたコマが圧を持って迫りくるため、不気味さが何倍にも増幅されています。

もう一つ、この漫画の最大の特徴は、巧みな画力を最大限に生かした、斬新な表現力!! あまりのインパクトに、登場人物の心象風景や心理描写が強く心に刻まれていきます。

たった1話でサイコパスっぷりを遺憾なく発揮し、読み手に強烈な印象を与える愛田先生ですが、自作自演してまで幸子のヒーローであり続けようとするのには深い理由がありました。また、清楚でか弱い外見の幸子の中にも、愛田先生に負けず劣らずの狂気が見え隠れしています。さらには、次々と登場する人たちも、みんないい感じにぶっ飛んでいます。純度が高すぎて、逆に毒になっているみたいな感じといいますか。

人々の内側に宿る狂気を極上のエンターテインメントに仕上げたこの作品、強烈な中毒性にご注意を! と、そこがまたたまらないのだけど。
 

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『ホームルーム(1)』

著者 千代 講談社

毎日クラスで不快なイタズラを受けている女子高生・幸子。でも、実はそんな日々もあんまり苦じゃない。なぜならいつだって憧れの愛田先生が彼女を助けてくれるから。でも、そんな愛田先生には隠された“秘密”が……? ネットで大きな話題の戦慄の学園サイコ・ラブ!