また髪を少し切りました。いつもとちょっと違う感じになりました。

 

美容室へ行くときに「なんか変えたい、変えたいけど、どう変えたいかはわからない」「希望は特にない」っていうことありませんか。それで、思考がストップした結果、美容師さんに“いつもの感じで〜”あるいは“揃える程度で〜”と言ってしまい、消化不良ぎみに帰宅することが私もよくあります。

先日、ミモレでも連載いただいたヘアライターの佐藤友美さんのワークショップ「~あなたに1番似合う髪型、見つけてみませんか?~」に参加してきました。こちらに参加した翌日に髪を切りに行ったら、「なんか変えたいけど、どう変えたいかは特にない」思考ストップ状態を抜けられた!というお話を今日は書きたいと思います。ちょっと長くなりますが、髪型を変えよう思っている方、ぜひ少しお付き合いくださいませ。

二子玉川の蔦屋家電で開催された佐藤友美さんの新刊『女は、髪と、生きていく』刊行記念ワークショップイベント。新型コロナの影響がここまでではないタイミングでの開催ではありましたが、マスク姿の女性たちが追加の補助席にもびっしりの超・超満員! 私も膝の上で必死にメモを取りながら、女性たちの「似合う髪迷子」の悩みの深さを感じました。

似合う髪には、「顔・髪質に似合っている」と「気分・気持ち(心)に似合っている」の二つがある、という佐藤さんのお話(「今の髪型、似合ってるのに気に入らない」、そのワケ」にも詳しく)に始まって、髪ごとのキャラ設定を学んだりしながら、<「あなたがこんな言葉で褒められる自分になりたい」と思う言葉20個書き出してください>というシートワークが課されました。

全部見せると恥ずかしいけれど、こんな感じです。

10個くらいは順調に書き出せたんですが、パタっとペンが止まってしまいました。私もまがりなりに髪型特集のライティングもしていて、髪で表現できる女性の形容詞はいっぱい思い浮かぶはずなのに……。ぜんぜん言葉が出てこなくて。あと残り30秒、15秒……とカウントダウンが始まり、埋められなくて泣きそう。

半ベソなみんなを見て、佐藤さんは「10個も埋まればいい方ですよ。3、4個で詰まってしまう人も多い。そのくらい自分のことを考える機会ってないんです」と。

すごくよくわかる気がしました。自分がこう見えたい、人からこう褒められたら嬉しい、みたいなこと、あんまりじっくり考えることないなあと思いました。若い頃はこう見えたいとかもっとあったと思うんです。

なんとか無理やり埋めたところで、佐藤さんが

「自分で書いた形容詞を見ると矛盾だらけじゃないですか?」

「それでいいんですよ」とザワついたみんなを安心させながら、平野啓一郎さんの“分人主義”の話をされてました。分人主義とは、簡単にいうと、人はひとつのキャラクターではなく、相手によって、場面によってたくさん人格があっていい、という考え方です。(平野啓一郎さんの新書『私とは何か――「個人」から「分人」へ』をぜひ)。

・会社の人には、信頼感があって知的に見られたい
・取引先の人には年齢相応か上に見られて舐められたくない
・ママ友には、若くて可愛くて親しみやすく見られたい
・後輩にはかっこよくておしゃれで美人の先輩に見えたい
……etc.

とそれぞれに見せたい自分の一面が違うのが普通です。

確かに私の書いた20個も支離滅裂もいいところで、完全に人格が複数存在していました。

その中から、今一番大事な“見せ場”を選び、それに相応しいキーワードを3つ選びます。その3つは人格が一致している必要があるそうです。見せ場は「新しい仕事で信頼を勝ち取りたい」「新しいママ友に早く馴染みたい」「夫に女として見られたい」……など色々あると思うんですけど、1つに絞って3つキーワードを選ぶんですね。なりたい自分は矛盾だらけのままでよくて、今の優先順位を決めるっていうところがポイントなのかなと思いました。

私は、仕事のシーンに絞って「かっこいい」「おしゃれ」「飽きない」にしました。

「かっこいい」と「おしゃれ」は、今自分がミモレのブランドマネージャーという立場で人前で喋ったりする機会が増えてきているため、少しキリッとしたイメージを出したいなと思ったんです。

「飽きない」っていうのは、人から「見ていて飽きない」って言われるのが一番嬉しいから。なんか自分が止まっている感じがするのが怖いんです。イメージとか、仕事とか、考え方とか。だから、アレンジできる髪にしたいなというのがありました。

そんな理由も含めて美容師さんにお伝えしたら、「よっしゃ、わかりました! “大人のデキるイイ女風”にしましょう」ということに(恥)! で、こうなりました。

 
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