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皇室担当記者が読み解く雅子さまのお覚悟と皇室の未来

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病気を抱えながら皇后という重責を日々のご自身の努力で担っておられる雅子さま。療養期間が長かったため、これまで国民と直接触れあう機会が限られていましたが、これからは国民と直接会話する機会も増えていくと見られます。皇族の減少など課題が少なくない皇室にあって、雅子さまは今後どのようなご活動をされていくのでしょうか。
前回に引き続き、毎日新聞皇室担当の大久保和夫さんにお聞きしました。

 

大久保和夫(おおくぼ・かずお) 毎日新聞社会部に在籍し、宮内庁を中心に、皇宮警察をはじめとする皇室関連の取材を26年続けている。皇室を通して日本と日本人について考えることを大きなテーマにしながら、70歳を過ぎても現役記者として活動している。


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皇后として初めて出した文書に込められたお気持ちとは?

 

2019年6月27日、フランス大統領および令夫人の来日の際に、ご会談を。ブリジット夫人とフランスの社会問題や愛子さまについてなど、ほとんど通訳を介さずにお話しされたということです。写真/Abaca・アフロ

外国暮らしが長かった雅子さまは、ジョークを交えた楽しく気の利いた会話術を身につけていらっしゃるといいます。

「もともと雅子さまは、とても気さくな方なのです。東宮妃時代の記者会見では、必ず一つは面白いお話をされました。
例えば、『夫婦のケンカは犬も食わないといいますけど、うちの犬はよく食べてくれます』とか。
またある時には、東宮職の人が外部の方に『両殿下がセッケンを賜ります』と言うので、相手の方は『石鹸をもらえるのかな』と思った。ところがそれはお会いする(接見)という意味でした、といったお話をされたり。そんなふうに、必ずユーモアを交えたお話を最低一つは織り込んでいらっしゃいました」

病気のため記者会見を中断して以降、雅子さまは文書で国民にお気持ちを述べられるようになり、毎年のお誕生日に合わせて公表されています。

 

雅子さまの56歳のお誕生日のポートレート。写真/宮内庁提供

「昨年12月9日の『皇后陛下お誕生日に際してのご感想』は、雅子さまの思いのすべてが込められたものでした。特に上皇両陛下に関しては3回にわたって言及されており、心からの感謝のお気持ちがとても強く出ていました。
自分が初めて皇后になって、平成の両陛下、特に美智子さまのお立場がよくわかった、その立場の重みと日々の緊張感をひしひしと感じ、それが文章になって表されていたのだと思います。

平成の両陛下は『国民とともにある』を標榜しながら、さまざまな活動をされてきた。その活動のあり方を、私もきちんと受け止めましょう、というお覚悟が表れてれていたのです。
『私は皇后として生きる、皇室の中でしっかり生きていく』という思いをこの文書の中ではっきり出された、と私は受け止めました。皇后としてのお覚悟、雅子さまが何を一番大事に思われているのかが凝縮された文書といえるでしょう」

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