湧き上がる疑問を解消すべく、小野さんはインターネットを駆使してレズビアンの人たちと接点を持つことに成功。実際に顔を合わせて話したことで、「自分は“異性愛者”ではない」ことに気づけたといいます。
そして同時期に飲み会で麻ちゃんと出会い、小野さんは彼女に一目惚れ。
紆余曲折を経て、小野さんの息子2人と麻ちゃんの娘とともに、子連れ同棲を開始したのでした。
好きな人と子どもたちに囲まれて幸せな生活がスタート……したものの、連れ子との折り合いがつかずに思い悩んだり、敬虔なカトリック教徒である両親への最悪のカミングアウトなど、小野さんは大きな壁に何度もぶつかり、その度に血だらけになりながら、ひとつひとつ、乗り越えていったのです。
子連れ同士のレズビアンカップルで結婚式
やがて、結婚することができない麻ちゃんとの関係が“なんとなく” “ズルズル”していてけじめがないことが気になった小野さんは、結婚式を挙げることを思いつきます。
「今でこそ、LGBTカップルの結婚式は珍しいものではなくなりました。少子化や晩婚化が進む昨今、結婚式場側も新たなターゲットとしてLGBTカップルを取り込もうと、次々と勉強会が開かれていると聞きます。でもこの当時、私は同性カップルの結婚式など話に聞いたこともなかったし、出席したこともありませんでした。そもそも結婚式をしたからといって、戸籍上“ふうふ”になれるわけではありません。『実行してもパーティだけで終わるなんて、ごっこ遊びみたいで、逆にすごく落ち込むんじゃないか?』という恐れもありました」
小野さんの懸念通り、式の準備を重ねる中で2人は何度も衝突します。しかし、式を挙げることが周囲へのカミングアウトにもなり、徐々に変化が現れたそうです。
結婚式の準備期間中、『結婚できないのに、結婚式をやる意味あるの?』と、何度も泣きました。『結婚式だけなんて、おままごとみたいだ』と、立ち止まる日もありました。その度に麻ちゃんは困り果て、私はおびえるばかりでした。でもやってみて、とてもよく分かった。意味は、ちゃんとあったのです。
ずっとクローゼットに閉じこもり、そこを飛び出す勇気もなかった私が、いつの間にか会社でカミングアウトして、近所のママ友を結婚式に呼び、とうとう子どもたちにも打ち明けていた。
私はいつの間にか、すっかり変わっていたのです」
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