「お金のプロの方は、お金についてどんなふうに考えているの?どうつきあっているの?」というミモレ編集部の疑問から生まれたインタビュー企画。マネー業界の著名人に「お金について知っておきたいこと」「お金の価値観」についてじっくり伺っていきます。今回ご登場いただくのは、経済評論家の山崎元さん。マネーコラムニストの西山美紀と編集部の片岡がお話を伺いました。

<今回お話を伺ったのは……>

経済のプロのお金との付き合い方「お金はあればいいというものではない」~経済評論家・山崎元さん_img0
 

山崎元さん
経済評論家。専門は資産運用。楽天証券経済研究所客員研究員。マイベンチマーク代表取締役。1958年北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事、野村投信、メリルリンチ証券など12回の転職を経て、現職。雑誌連載、テレビ出演等で活躍中。著書に『マンガでわかるシンプルで正しいお金の増やし方』(講談社)、『お金で損しないシンプルな真実』(朝日新聞出版)等多数。

 


お金は目的ではなく手段である


――山崎さんは、「お金」についてどのように考えていらっしゃいますか?

山崎元さん(以下敬称略):例えば大学の授業では、最初に「お金は自由を拡大する“手段”だと考えましょう」と説明することにしています。

お金がたくさんあれば、好きなものが手に入るし、行きたいところにも行ける。助けたい人を助けることもできる。

――同感です。「お金を手に入れること」ばかりではなく、「使うこと」に目を向けたいですね。

山崎:はい、お金は“目的”ではなく、あくまでも“手段”です。だから、合理的に扱ってほしい。自分自身もそう意識しています。私個人としては「吸った息を吐くようにお金とかかわること」が理想的です。

自然に稼いで、自然に使って、空気を意識しないのと同じように、お金ことをあまり意識しないで人生が過ぎていくのがいいなと思います。
もちろん、お金が足りなくなることは心配ですし、考えないわけにはいかないのですが、感情的にならずに合理的に扱うことをすすめたいと思っています。

経済のプロのお金との付き合い方「お金はあればいいというものではない」~経済評論家・山崎元さん_img1
 

――「お金はあればあるほどいい」という人もいますが、そうではなく……。

山崎:はい、お金をたくさん手にしても、「もっともっと」と限りがありませんから。ものすごくたくさんお金があっても、年を取ってお金を使う元気がなくなって、孫の大学入学の裏口に使うか?なんて冗談ですけど(笑)、そんな使い方は寂しいですから。

お金は他人を動かす力を数量化したシンボルでもありますよね。例えば、お金を払えば物をもらえる。つまり、所有権を自分に移してもらえる。もしくは自分のために人が動いてくれる。いろいろなことをお金に計算しなおすことができる。
お金はそのようなものなので、自分の価値観の中にお金が深く入り込みすぎてしまうことがあるので要注意です。

例えば外資系の会社に勤めていて、同じ業種の日本の会社よりも3倍の給料をもらえたとします。「3倍稼いでいるから、自分の方が3倍価値がある」といい気分になると危険です。子どもから見ても、「3倍稼いでいるお父さんの方が、3倍良いお父さん」という価値観が刷り込まれてはおかしいですよね。そして、もっと稼いでいる同僚に対して劣等感を持つ。

 
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