法定相続分はあくまで目安。すべては話し合いで決める
誰が遺産を相続するのかが決まったら、いよいよ遺産の分け方を決める「遺産分割協議」に入ります。
ここで大前提として、相続人全員が持っておきたい共通認識があります。それは、遺産分割協議で最優先されるのは「相続人全員が話し合って、納得する」ということ。後述の「法定相続分」どおりでなくても、「みんなが相談して決めたこと」なら問題ありません。なお、遺言書がある場合には、原則そのとおりの遺産分割が行われます。
遺産分割協議は、必ずしも全員が一堂に集まる必要はありません。病気や海外在住などで、話し合いの場に来られない人がいても、電話や書面、メールなどで意見をまとめて最終的に遺産分割協議書に押印すれば、成立したものとして認められます。 不成立となるのは、
●相続人の中に1人でも不参加の人がいる
●反対者がいて話し合いがまとまらない
といった場合。家庭裁判所に遺産分割調停を依頼することになります。
遺産の分け方はこの4種類
日本人の遺産の多くは土地や建物などの不動産といわれており、現金や預貯金などのように平等に分けることが難しいケースが大半です。
それではどのように分けるのかというと、下表にある4種類が主なやり方です。それぞれにメリット・デメリットがあり、最も合う方法を選ぶこととなります。
行方不明者や認知症の人がいた場合は?
相続人の中に行方不明者や、認知症などで判断能力を欠く人、また未成年者がいた場合、遺産分割協議の前に家庭裁判所で代理人を選任してもらう必要があります。行方不明者の代理人は「不在者財産管理人」、判断能力を欠く人の代理人は「成年後見人」、未成年者の場合は親権者か、「未成年後見人」です。
ただし、これらの代理人が親族で、しかも同時に相続人になっている場合、利益相反となります。その場合は家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらうことになります。
ちなみに、遺言書を作成する人は成人死亡者数の10人に1人程度といわれているそうです。また、法改正によって一部の手続きが簡略化されたことで、今後は遺言書を作る人が増えるとされています。
もし遺言書の存在を知らされていなかったとしても、自宅や公証役場で探すことは必ず行いましょう。
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構成/小泉なつみ
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