新型コロナウイルス感染症による「非日常」が続いていますね。筆者が暮らすニュージーランドでも、感染拡大を防ぐために3月26日からロックダウン(都市封鎖)が実施されました。
そして本稿を執筆しているまさに今(4月20日)、4段階の警戒レベルにおける「レベル4」のロックダウンが4月27日に終了することが発表されました。政府、そして国民の取り組みが奏功し、感染者の増加を抑制できたのです。
こういったニュージーランド全土・全世代の一斉取り組みに参加するのはもちろん、初めての体験。そこで社会と身体的距離を保つ一方、この国との思わぬつながりを実感することになりました。
そもそもニュージーランドってどんな国?
ニュージーランドと聞いて何を思い浮かべますか?
大自然に囲まれたアウトドア・アクティビティの国、人より羊の多い国。そして、昨年日本で開催されたラグビーワールドカップでの活躍により、さらに知名度を上げているかと思います。
この地が輩出した映画とその技術に惹かれてニュージーランドにやってきた私としては、映画『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督や、『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督の故郷!ということも声を大にしてお伝えしたいところです。
公用語は英語のほか、マオリ語と手話。人口が500万人以下の島国になりますが、多くの移民が受け入れられている多文化的な国であるといえます。
そんなニュージーランドの指揮を執るのが、現在39歳のジャシンダ・アーダーン首相。世界で初めて在任中に産休を取得した首相で、昨年起きたモスク銃乱射事件※では、こんな言葉で世界から注目を集めました。
「They are us(彼らは私たちである)」
アーダーン首相は人種や宗教で人々を分けることなく、この事件で犠牲者となったイスラム教徒たちを、互いにニュージーランドで暮らす仲間である、と訴えたのです。
亡くなった人々に愛をたむけ、その家族やコミュニティと悲しみを分かち合う。そんな首相の姿は、国内外問わず人々の心を動かしました。
※2019年3月15日、ニュージーランドのクライストチャーチにある2つのモスクが白人至上主義者によって襲撃され、51人が犠牲となった事件。
新型コロナウイルス(COVID-19)を取り巻く現状
ニュージーランドにおける新型コロナウイルスの状況は、感染者数合計1,451人、死亡者数合計16人(4月23日発表時点)。ここでの感染者数には、感染している可能性が高い人も含まれます。
ロックダウン中は、スーパーや薬局などのエッセンシャル(生活に必要不可欠とされる)ビジネス以外は休業。レストランやデリバリーフードは営業不可、学校や図書館は閉鎖となり、会社はリモートワークに切り替え、という状態です。
経済的にも大きな犠牲を「前払い」しなくてはいけないと言われるロックダウン。ほかの国と同じように賛否もあり、ルールを破る人の姿も報じられています。それでも、過去最多と並ぶ89人の新たな感染者数が4月5日に発表された後、ついにグラフは下に向かってカーブを切りはじめたのです。そのときは、自分にのしかかっていた重力がすこしだけ軽くなったように感じました。
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