大切な人であればあるほど、その人を失くした時の悲しみは深いもの。このまま立ち直れないかもしれない……、そう思ってしまうこともあるでしょう。ご自身も7年半前に夫を失くした終活ジャーナリストの金子稚子さんは、「悲しみは乗り越えるものではない、ずっと持ち続けていいものだ」とおっしゃっています。

 

green62さんからの質問

Q. 大切な人を亡くすたび深い喪失感に襲われ、月日が経っても完全には立ち直れません。


30代後半で、6歳と4歳の息子がいます。私は学生時代に母を亡くしました。大好きな母で、また私が父と折り合いが悪かったため母を拠りどころとしており、亡くなった時は周りの何もかもの色彩が消えたような感覚で、深い喪失感を味わいました。自分なりに折り合いをつけどうにか過ごしてきましたが、いまだに気持ちが落ち込んだときなどは、母がいたら全然状況は違っただろうに……という後ろ向きな気持ちになり、涙を流す日もしょっちゅうです。

そのような中、つい最近大事な友人を不慮の事故で亡くしました。尊敬する対象でもあった友人の死で、再び母が亡くなったときのような深い喪失感を味わっています。この先、母のときのように時が流れて何となく立ち直るだろう、その一方で、頻繁に悲しみに襲われることにもなるだろう、と想像できます。母のときに悲しみの乗り越え方を間違えてしまったのかもしれません。この先も不条理な別れに会うこともあるかもしれず、その際の受け止め方、乗り越え方を教えていただけたらと思いご連絡しました。(37歳)
 

終活ジャーナリスト 金子稚子さんの回答

A. 亡くなった人を思って流す涙には、冷たい涙とあたたかい涙があります。


green62さんにとってお母さまは心の拠りどころでいらしたのですね。そして今、大事なご友人を亡くされたとのこと。本当にお辛いと思います。

同じように大切な人である夫を亡くした私の経験から、一つだけお伝えさせていただきたいことがあります。green62さんは「悲しみの乗り越え方」と書かれていましたが、私は悲しみは乗り越えるものではないと思っています。むしろ乗り越えようとせず、ずっと持ち続けていいものだと思っているのです。

green62さんがおっしゃっているように、悲しみはなくならないと思います。そのうえで考えていただきたいのが、「亡くなった方は今この瞬間どこにいて何をしているだろう?」ということです。ご友人のことは、今は失くされたばかりでまだそのようなことを考えるのは無理かもしれませんが、お母さまのことは少し落ち着いて考えられるのではないでしょうか。お母さまは、今まさにこの瞬間どこにいて、何をしていると思われますか? もしそのようなことを考えることが可能でしたら、是非やってみてほしいと思うのです。

 
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